人混みに紛れるチビを探せ!
グクロス?からの情報によると10分弱らしいが、どうもそんな時間じゃ着きそうにない。
「あなたが例の狼男ですか?」
「あの噂の狼の頭の人ですよね?」
「ネットで取り上げられてること知ってますか?」
「ネットで今取り上げられていることについてどう思ってますか?」
さっきからずっとこんな調子だ。パッと見ても50人はいるだろう人だかりが俺の周りにできている。この狼頭、外せないのが本当に腹立つ。
今まで、「テレビで記者達に追いかけられてる芸能人を見て、取材受けたらこの人達いなくなるのに。この人達だって仕事なんだからちょっとぐらい対応してもいいのに。」と思っていたが、今、その芸能人達の気持ちがわかった気がする。
こいつらめっちゃ腹立つ!
「すいません!急いでるので!」
「ちょっと待ってください!一言お願いします。」
大量の人を掻き分けて進むが、人の流れに押し込まれて息苦しい。しかも、女性がいるから強引に行ったら公然わいせつ罪(そういう罪がテアレにあるかわからないけど)で捕まりそう。
「どうしようかな………………あっ!」
「なんて言いましたか?」
「この件についてどう考えてますか?」
「その狼頭って暗黒の人狼頭ですよね。確か喰狼を倒した時に、低確率で落ちるアイテムですよね?それと、それを装備しているってことはそっちの人間ですよね?」
「えっ!?そっちの人間じゃないと装備できないんですか?」
心の声が口から漏れてた。
「あっ!何でもないで────
「えっ!?知らなかったんですか?」
クソっ!遅かったか!
「はい。けどグクラス?さんも頭まで被ってるじゃないですか。もしかしてグクラス?さんもそっちの人間なんですか?」
「いやいやいや、グクラスさんは普通の人ですよ。普通の人間でも別に、頭まで被ることはできるんですよ。ただ、モンスターが落としたものを装備できたり、その装備の効果を得たりできるのは、そっちの人間だけなんですよ。」
「そうなんですねー。」
情報を軽く聞き出して、軽く流す!前世で身につけた奥義の1つだ。
もし、「セクディアで出没した狼男、そっちの人間なのに、そっちの人間について何も知らない。」とかニュースになったら困るからな。「私知ってましたケド。それに興味ないんですケド。」っていうスタンスでいけば、情報を得つつ「なんだ知ってたんだ。」って相手がなってくれるはず。
この人に足止めをくらったが、これからは商店に向かって急がないと………
「あっ!」
少しづつ前に進んではいたが、もう時間は過ぎているんじゃね?
そう気づいたら、無意識に大きく息を吸っていた。そして大きく息を吐く。
「すいませーん!急いでるので通してくださーい!」
「その前に一言お願いします!」
「今どこに向かっているんですか?」
「そっちの人間って本当ですか?」
「その狼頭ってわざと被ってるんですか?」
「違いますよ!これ外せないやつですよ!そうですよね?」
横から入ってきた他の人がその聞いてきた人に、反論をした。そして、俺に確認をしてきた。
「まぁはい。そうですけど。」
「そうですよ!だからこの狼頭は被りたくて被ってるわけじゃないんですよ!」
そう言われて、聞いてきた人は反論しようと頭を捻らせていたが、しばらくしてどこかにスッと消えていった。
「あっ……なんかごめんなさい。庇ってもらっちゃって。」
「いえいえ、私は正しい情報を知りたいだけなので。」
そう言うと、さっきの人と同じように人混みに消えていった。
名前聞いとけばよかったな………
まぁこのセクディアはそんなに大きくないし、いずれ会えるだろう。
しばらくして他の人も減っていき、周りを囲む人は10人ぐらいになった。
少し余裕ができたし、プリカースを開くか。
[現在時刻…17:07]
「時間過ぎてんじゃねーかーっ!」
「あっ例の時間ですか?」
下から声がした。
「うわっ?!」
下には「オネエです!」って感じの顔の人が立っていた。身長はだいたい1mちょっとだろう。見た目も気になるが、そんなことより───
「そっちの人間って急にいなくなりますからね。みんな慣れてますよ。」
声が低い。低すぎる。俺の声よりも圧倒的に低い。渋いおじさんのイケボ?だ。
前世の唯一の女友達(決して女性と話すのが苦手なのではない。そもそも友達の母数が少ないからな!)がこんな感じの声のフェチだった気がする。
「あっ………あの………?」
「あっ声ですね。よく言われます。チビのくせに声は2mの人の低さって。」
「そうなんですね………。」
やっぱり何回聞いても、見てる情報と聞く情報が違いすぎる。俺の脳が「この声こいつからは出てない!絶対違う人の声だ!」って叫んでる(気がする)。
「急にすいませんね。僕の名前はミリヴィアって言います。あなたの名前は?」
「俺の名前?俺の名前は………」
あれ?俺のテアレでの名前って何だ?玲哉でいいのか?
「名前分かんないんですか?」
「はい。そういえば、親に命名された記憶もないし、今まで名前で呼ばれることもなかったので。」
「そうですか。僕も同じだったので分かりますよ。」
「えっ!?あなたそっちの人間なんですか?」
「そうですよ。そっちの人間同士仲良くしましょうか。」
「えっ?あっ……はい。よろしくお願いします。………ミリヴィアさん?」
「こちらこそよろしくお願いします。……………名前なんでしたっけ?」
「だから分かんないんですよ。」
「そうでした。ごめんなさい。」
「とりあえず一旦、「玲哉」って呼んでください。」
「はーい。玲哉くん。」
「フッ………その声でそのノリしな……フフッ……いでください。面白過ぎます。」
「すいませんでしたー。」
こりゃやめてくれないな。でも────
「俺たち馬が合いそうですね。」




