表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

逃げろヒロイン

モブ退場

作者: 笛伊豆

ゲームが終わったらどうなるんだろう、と思いつきで書くと。

「いくらお前が手練手管を弄しようが私は絶対になびいたりはしない!」

 テレス王国第一王子セドリックの凜々しい声が響き渡った。


 セドリックは左手でクール系の美少女の肩を抱き、右手で正面に座り込んでいる桃髪の美少女を糾弾するように指している。

 その両側と背後にはそれぞれ美形だったり凜々しかったりする高位貴族の子弟が立っていて王子の態度を補強していた。


 ここはフラン王国の貴族学園の教室。

 周囲を同級生(クラスメイト)たちが遠巻きにしている。


「私はそんなつもりでは……」

「白々しいぞ! わざわざ私の前に出てきて座り込むなど、後ろ暗い事がある証拠だ!」

「そうだそうだ」

「平民のくせに態度が大きいんだよ!」

「お前なんぞ視界にいるだけでも汚らわしい。さっさと退学しろ!」


「酷い! 私は何もしてないのに!」

 ピンクブロンドの美少女はわっと泣き出すと逃げ出した。


「ふん。貴様の魂胆などお見通しだ!」

「そうですよね。そもそも平民がこの学園に通うこと自体、思い上がっています」

「我らの前に立つ資格があるとでも」

「いっそ平民は全員追い出しますか」

「まあよい。それであのゴミも思い知ったことだろう」


 言いたい放題の王子と高位貴族子弟。

 王子の婚約者であるカニンガム公爵令嬢サラはほっと安堵の息を吐いた。

 良かった。

 ストーリーを覆した。

 王子や取り巻き(みんな)が信じてくれて良かった。

 そう、ここは乙女ゲーム「緑の風に運ばれて」の世界。

 サラは第一王子の婚約者で悪役令嬢に転生した前世日本人だ。


 この世界はサラの前世でちょっとやったことがある無料ダウンロード可能なスマホゲームを元にしている。

 ただラインナップを揃えるだけのために粗製濫造された、美麗な絵とイケメンボイスとプログラムとすら言えないくらい簡単な選択システムがあるだけのアプリだった。


 主要登場人物(キャラ)は6人しかいない。

 ヒロインと悪役令嬢と攻略対象4名だ。

 あとのキャラは背景に描かれているだけの静止画でセリフすらなかった。

 ついでに言えば舞台も学園の教室や校門や食堂や体育館らしい大雑把な背景だけで、画面ではバストアップのキャラが話すだけ。

 アニメーションもない。


 それでも乙女ゲームらしく、ヒロインの選択肢によって攻略対象を選んでゲーム進めると告白してきたり悪役令嬢を婚約破棄したりして終わる。

 逆ハーも可能。

 その後どうなるのかはゲームが終わってしまうので不明。

 多分、ろくなことにはならないだろう。


 だが悪役令嬢は婚約破棄されたら将来は暗い。

 どうなるのかはゲームに出てこなかったから判らない。

 ひょっとしたら穏便に済むかもしれないけど、敢えて危険を冒すまでもない。

 だから攻略対象たちに知恵をつけてヒロインを追い払ってやったのだけれど。

 何か違和感がある。


「あれ?」

「なんか静かすぎないか?」


 いつの間にか教室に誰もいなくなっていた。

 正確に言えば攻略対象たちと悪役令嬢以外の人影がない。

 ヒロインは泣きながら退場したからいないのは判るけど。


 パタン。

 パタパタパタ。


 教室の壁が次々に倒れていった。

 その向こう側にはただ平坦な床が広がっている。

 廊下や校庭はどこに行った?


「おい、これ」

「おかしいだろ!」


 セドリックたちの慌てた声が響くがサラは何となく納得していた。

 そうか。

 ゲームが終わったのね。

 そしてモブが退場した。

 ゲームが終わったんだから舞台も必要なくなったと。

 向こうの方でヒロインが座り込んで呆然としているのが見える。

 これからどうすればいいの?

前半書いて飽きてほっといたんだけど、ふと思い出して残りを書いて適当に終わらせました。

モブは書き割りなので消えます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ