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三題噺もどき3

依頼

作者: 狐彪

三題噺もどき―ごひゃくさんじゅうよん。

 



 二人掛けのソファの上に1人寝転がっていた。


 スマホをいじりながら、今日も今日とてこうして一日が終わるんだなぁなんだかもったいないなぁ……なんて内心思ってはいても、何をすることもなく。本当にこのまま一日を終えていく。たまに、下手な思考に走るくらい。

「……」

 何も面白いことも知りたいこともないのに、SNSをぼうっと眺めている。

 特に何もないし、ゲームでも開こうかとアプリを閉じたあたりで。

「……?」

 珍しく何かの通知が来たので、ステータスバーを開くと電話がかかってきていた。

 電話がかかってくること自体珍しいので、何かと思い一瞬警戒したのだが。

 見れば、父からの電話だった。何かあったんだろうか。

「……もしもし」

 通話ボタンをスライドして、電話に出る。

 たまにこれの反応が悪い時あるんだけど、案外そんなもんなのだろうか。最悪電話に出れないときもあるからどうにかしてほしいんだけど……案外スマホ自体がもう古いのかな。そんなことないと思うんだけど。まだ二年くらいしか使ってない。

『あ、もしもし……○○?』

「ちがいますけどぉ?」

 妹の名前を呼ばれた。

 誰に電話するつもりで電話したんだこの人。

 なんでも、電話越しの声だと姉妹の声は聞き分けがしづらいらしい。まぁ似通って入るかもしれないが……それでも分かるだろうに。毎日のように聞いているんだから。

 というか、毎度思うが、あっちからかけている以上誰にかけているかは分かるはずなんだけど。まぁ、たまに気づかないうちに他の家族が取ることもあるにはあるが。それは母の携帯に限ったことで、妹や私の携帯では絶対にない。

『あぁ、ごめんごめん』

「……なに」

 さっさと要件を済ませてしまおう。

 なんだか、この程度のことで酷い裏切りにでもあった気分だ。

 家族の癖に、誰の声かも分からないなんて……病院に行った方がいいじゃないか。

『お母さん居る?』

「いや、今日仕事」

 だからこちらに電話したのだと思ったんだが。

 母は基本、土曜日までは仕事で、日曜日と他のどこか平日が休みになっている。

 たまに土日休みになることもあるが、それはまぁホントに稀だ。

『あぁそう……どうするかな…』

「なんかあったん」

 最後の方はつい漏れたつぶやきのようで、小さかった。

 何か届けるくらいならしてもいいが、忘れ物でもあったんだろうか。というか、今日は父こそ休みじゃないのか。公務員だろうに。

『あー……部屋に赤い鞄があるんだけど』

「うん」

 返事をしながら、いきなり始まった探し物をしに行く。

 リビングにいたので、階段を上がり二階へ。

 一番奥にある、両親の寝室に入る。

 自分の部屋には絶対に入らせないが、両親の部屋は割と勝手に入る。母は勝手に入ってくることはあるけど……あの人はあの人でデリカシーというものが若干かけている気がする。祖母もそうだもの。私が言えたことじゃないかもしれないが。

「赤い鞄……これ?」

 カメラに切り替えて見えるように赤い鞄を映す。

 赤と黒でデザインされた鞄で、大きさはさほどない。出かけるには丁度いいぐらいの斜め掛けができるタイプの鞄だ。

『そう、そのなかに……』

「……」

 開きっぱなしになっていた鞄の中身を探る。

 この鞄結構使い勝手がよさそうだ。それなりに大きく開くし、見かけによらずものが入りそうな気がする。まぁ、出かけるときの持ち物なんて財布とスマホだけなんだけど。あとイヤホンぐらい。持ち物はあまり多くしたくない。よく見かける女性陣のあの大きなカバンは邪魔じゃないのかななんて思ってしまう。きっとそれなりに色々入っているんだろうし……。化粧とかしないからな……。

「あーこれ?」

『そうそれ、持ってきてくれん』

 見つけた探し物を手に持ったまま、再度リビングに降りる。

 今度は出る準備をしないといけない。まぁでも届けるだけだからこのままでもいいか……着替えるのがめんどくさい。

「どこに」

『んー入り口に』

 もう何度か行っている場所だ。しかし若干入りづらい上に出づらいのが問題だよなぁ。毎度もっていくこちらの身にもなってほしい。

「りょーかい」

『ん、よろしく』

「はいはい」

『じゃ』

 ぷつりと通話が切れたことを確認し、スマホをそのあたりに置く。

 鞄まではいらないか。とりあえず、スマホと財布があればいいだろう。

 せめて下ぐらいは着替えていこう。

 あぁ丁度いいし、コンビニにでも行こうかな。










 お題:赤い鞄・電話越しの声・裏切り

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