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俺、悪役騎士団長に転生する。  作者: 酒本アズサ


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255/274

255.

 朝食を済ませた後、屋敷の門前に集まった護衛や、同行すると思われる者達に改めて紹介された。

 少なくとも百人はいるんじゃないだろうか。



「彼らはジュスタン殿、シモン殿、藍之介殿だ。昨夜共に食事をした者はわかるだろう。東宮様の希望により、都まで護衛として同行する事になった。というわけでよろしく頼むぞ~」



 よく通る声、綺麗に整列している烈陽(リエヤン)の部下達。

 なのに烈陽(リエヤン)本人だけが緩い。

 一応東宮に対して言葉遣いはきちんとしていたが、空気が、態度がかなり緩かった。

 しかし、部下達の統率がしっかり取れているから、上司として慕われているのだろう。



 ちなみにこの時点で藍之介は耳に認識阻害の魔法をかけている。

 顔にもかけるという案も出たが、それをやるとエルドラシア王国の王都でコーヒーを卸していた時のように、何かあって後で調べられたら確実に怪しい人物となってしまう。

 法よりも身分がモノを言うであろうこの帝国では、よそ者で怪しい俺達は無実でも有罪待ったなしだ。



 あとは東宮が来たら出発となった時、漆塗りでカーテンが引かれた八頭立ての馬車が現れた。

 子供一人に馬を八頭も必要ないとは思うが、皇族として公式に移動するとなると、こういう見栄も大事なのだろう。



「ジュスタン! 雪瑤(シュエヤオ)に聞いたが、そなた達も都まで同行するのだな! (わたし)は嬉しいぞ!」



 東宮がカーテンをペロンと捲って顔を出した。

 それを見た周りの者が慌てて止めている。

 高貴な者はむやみに姿を見せてはいけないというやつか。

 姿を知る者が多いほど、それだけ危険も増えるだろうから仕方ない。 



「ジュスタン殿とシモン殿は騎士というからには馬には乗れるだろう? 藍之介殿も乗れるのか?」



 そういえば確認していなかったな。

 シモンと俺は藍之介に視線を向ける。

 藍之介は誰も居ない、真っ直ぐ正面を見据えたまま口を開く。



「あいにく馬に乗る状況になった事がないので。長距離の移動は飛べばいいだけですから」



「さすがにエルフの里以外で飛べば目立ち過ぎるだろう。かといって認識阻害を使って飛ばれてもなぁ。かといって俺と一緒に乗るのは馬が可哀想だろう」



 軍馬であれば鍛えられているだろうが、帝国民より体格のいい俺達が二人で乗るのは厳しいはず。



「だったら東宮様と一緒に馬車に乗ってもらおうか。雪瑤(シュエヤオ)と二人しか乗らないから、席は空いているしな」



「では私は馬車の中で護衛をしよう」



 烈陽(リエヤン)の提案に、藍之介は素直に頷いた。



「東宮様、藍之介殿も馬車に同乗してもらって護衛してもらう事になりました」



「わかった」



「藍之介様も馬車に!? で、では私の隣にお座りいただきますね!」



 カーテン越しに雪瑤(シュエヤオ)の動揺している声がした。

 もしかして雪瑤(シュエヤオ)もエルフに憧れているクチなのだろうか。

 実際俺とシモンもエルフの里に行くまでは、伝説の存在として憧れを抱いていたわけだし。

 今ではすっかり耐性ができているわけだけれども。



 最初の頃は慇懃無礼な感じだったが、移動中とか色々話していると、閉鎖的な暮らしのせいで知識が偏っている事を指摘したら変わり始めた。

 確かに昔の事なんかは書物に書かれているものを読んでいて、知識の宝庫ではある。

 しかし、この数百年に進化した魔導具や、俺の現代知識に尊敬の念を抱いていると言っても過言ではない。



 まさかゆで卵を作る時にお酢を入れたら、ひび割れから卵白が飛び出してこない、そんな家庭の豆知識で尊敬されるなんて思わなかったが。

 その他にも裏技的な知識に、藍之介は目を輝かせながら興味津々だった。



 俺が話す事に対し、シモンが藍之介と一緒になって感心していたせいで、まるで俺を賢者か何かのように尊敬してくれている。

 主従契約をした時は、自分がやった事に対する贖罪のつもりのようだったのに。



「藍之介、何かあった時は東宮を頼んだぞ」



「お任せください」



 こういう時も、最初はほぼ無表情だったのが、今は柔らかく微笑むようになっている。

 屋敷には管理する者達だけが残り、他の者は都に向けて出発した。

 先頭を騎馬の護衛が二人ずつ、東宮が乗っている馬車の前後左右に移動する。

 左側には俺とシモン、右側には烈陽(リエヤン)が配置されたのだが、カーテンの中からはうっすら外が見えるらしく、東宮は満足そうだ。



烈陽(リエヤン)とジュスタンが左右を守ってくれるなら、何の心配もいらぬな! しかもエルフの藍之介までおるときた!」



 ちなみに俺達がこの交易都市香蓮府に入った門から、町を挟んで反対側に位置する門に到着した時には太陽はほぼ真上に昇っていた。

 門の外に出ると、休憩に入る。

 先行していた者達により、テントというか、いわゆる天幕が張られ、東宮の昼食の準備が始まっていた。



 え、ちょっと待て、まさかこれから食事のたびに、天幕を張り、約百人分の料理を作るのか?

 見ていると、東宮の分だけは屋敷と変わらない料理のようだが、俺達には二つ折りにされた中華饅頭の皮のような物と、それに挟む具材がいくつか提供された。

 護衛は交代で食事を済ませ、東宮は軽く昼寝をしてから出発するらしい。



 その間に下働きの者は片付けを終わらせ、いつでも出発できるようにするのだ。

 食事のための護衛交代の時に藍之介と話したが、しっかり雪瑤(シュエヤオ)から情報を引き出しているらしい。

 夜にはしっかり聞かせてもらおう。

更新頻度、できれば週三、くらいに落ちるかもしれません。

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