243.
あけましておめでとうございます!
本年もよろしくお願いいたします。
今回でエルフの里編最後です!
「ふむ、これなら余程の事がない限り、大丈夫じゃろう」
俺が身体に戻れてから十日後、そう宣言した萌の言葉に、食堂にいた全員がホッと息を吐いた。
朝食の間、俺をジロジロ見ていたから観察しているのだとは思ったが、しっかり確認してくれたらしい。
「だったら今日にでも出発しようと思うのだが、構わないか?」
「うむ……、そなたらがおらぬようになったら寂しくなるのぅ。じゃが、引き止めるのも無粋というもの。その代わりひとつだけ頼みを聞いてくれるか?」
「頼み? 無理難題でなければいいぞ」
「そうか! ではこの藍を一緒に連れて行ってくれ!」
「「はぁ!?」」
俺とシモンの声がハモった。
ジェスやジャンヌは普通の人族に見えるから、一緒にいても問題ないが、藍は明らかに人族ではないとわかる。
そんな奴を連れていたら目立って仕方ない。
「これは本人の希望でもあってな。蘭を追うのじゃろう? それに先日言うたわらわの友に会うにしても、エルフである藍が一緒であれば色々と楽になるはずじゃ」
「ジュスタン、あなたに迷惑はかけない。ですから同行を許可していただきたい。蘭があなたに接触してくる可能性があるのですから」
そういう藍は真剣なのだが、同時に人族を見下しているのが透けて見えた。
正確にはドラゴンと従魔契約をしている俺に対しては一目置いているが、シモンに対しては利用するための駒を見る目をしている。
今後、自分の目的のためにシモンを犠牲にすることも迷わず実行するだろう。
「信用できぬのは重々承知しておる。じゃから藍と話して決めたのじゃ」
「決めた? 何を?」
何だか嫌な予感がする。
萌が藍と共に俺の横に立ち、座っている俺の手を取った。
反対の手には藍の手を握った状態で。
「『契約』」
萌の魔力が俺と藍を包んだ。
何が起きたか理解できてしまったが、認めたくない。
そんな思いが口をついて出た。
「何をした!?」
「わかっておるじゃろう? ジャンヌ達と同じじゃよ。主であるジュスタンには危害を加えられず、悪意を抱けば激痛が襲う。命令に背いた時もな。つまりは従属契約じゃ」
やっぱりそうか……!
ジェスやジャンヌの時と同じ感覚がしたからまさかと思ったが。
もうラフィオス王国では数百年前から使われなくなったという、契約魔法。
奴隷制度が残っている国では魔導具を使って行使されると学院で習ったが、そうか、エルフだと普通に使い手がいるという事か。
「ジュスタン……いや、主様。この契約は従属する側の任意が必要なので、私の意思で契約した事に嘘はないとわかっていただくためです。それに……、己の命の危機にも部下を見捨てず、ドラゴンの親子と契約できる主様ならば、私の命を預ける事に迷いはありません」
重い!!
だがそうか。普通の魔物と従魔契約しているのではなく、ドラゴンという神に近しい存在とすでに従魔契約しているからこそ、藍にとっては忌避感がなかったのかもしれない。
「というわけじゃ。それに藍を連れて行くと色々と便利じゃぞ。交渉事も任せられるし、ひと通りの家事もできるというか、世話をする事も慣れておる。わらわの世話係をしておった時期もあるでのぅ」
ここまで腹を括られると、嫌だとは言いづらい。
ジェスやジャンヌは俺がいいと言えば構わないだろうが、シモンはどうだろうか。
シモンに視線を向けると、頭の後ろで手を組んだまま、何も考えていない顔で口を開く。
「いいんじゃねぇ? 魔法も使えるし、従属契約してるなら団長に逆らえねぇんだしよ」
「だが、エルフを連れて歩くと目立つぞ」
「あっははは! 団長が目立ってるんだから今更じゃねぇ? しかもジャンヌもいるから、美形が一人増えたところで変わんねぇって!」
「そんなに俺は目立つか? 確かにエルドラシア王国では銀髪を見かけなかったから、それなりに目立っていたかもしれないが……」
髪をひと房摘んで見ていると、シモンはやれやれといったジェスチャーをした。
もしかして悪役補正で悪目立ちしているのか!?
「そりゃあ団長はたまに笑顔すら怖ぇけどさ、むしろ笑顔が怖ぇって言うか。けど普通にしてればエルネスト様並みに美形って自覚ねぇのぉぉぉぉぉぉっ!? ごめんなさいごめんなさい!!」
「笑顔が怖くて悪かったな」
ウメボシをお見舞いされたシモンの謝罪が食堂に響く。
こいつの悲鳴が心地いいと気付いたのはいつからだろうか。
普段から余計なひと言で自滅していると気付いた時からかもしれない。
「ジュスタンよ、今の顔を鏡で見るがよい。シモンの言葉を否定できぬぞ」
「…………」
萌にジト目を向けられ、無言でシモンを解放した。
とりあえず藍が同行する事に関して反対する者はいないようだし、蘭を捕まえるにしても、この先何があるかわからないから強力な魔法を使える者がいるのは心強い。
相手は禁術を使えるくらいだからな。
「蘭を捕まえたら一度この里に戻って来るがよい。目的を達成したのなら藍との従属契約も解除した方がよかろう。双方がこのままでよいというのなら、そのままでもよいが」
「いや、絶対に戻って来る」
キッパリと告げると、萌はにんまりと満足そうな笑みを浮かべた。
戻る時はエルドラシア王国にも寄る約束をしているし、ラフィオス国王じゃないが、各国に転移魔法陣が設置できればいいのに。
問題はエルフやドラゴンじゃないと起動できないという点だな。
こうして俺達は獣道すらなくなっていた使われていない魔法陣へと向かい、山脈の向こうの黄鱗帝国へと入った。
さぁて、また週三更新がんばります。
書きたいシチュをメモしたので、書くのが楽しみですわ!
次回からの黄鱗帝国編までぜひ本になってほしい!
なぜなら衣装を着たイラストが見たいから。
イメージは漢の時代なのです。結構ヒラヒラした上着とか着てる。
髪が長い人が多いイメージの時代ですね。
それと報告が。
なんと!
【俺転】三巻も重版しました!
お買い上げくださった皆様ありがとうございます!!




