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EP.2 領内実態潜入調査!

私の誕生日から三日。私とルフレは……

公園でクレープを頬張っていた! ちなみに、バナナチョコクレープです。


ふと顔をあげると、おじさんとおばさんがこっちを見ていた。……あ、目があった。

二人はこちらに近づいてくる。

「あなたたち、見ない顔ね。デートかしら?」

「あ、わかっちゃいます?」

おいっ! なに言ってんだルフレ! この状況で一番恥ずかしいの私なんだけど! 心なしか声が弾んでたぞ! どういうつもりだ!

――こういうときは変に否定しても恥ずかしいだけだ。というか何しても恥ずかしい。とりあえず、ニコニコしとこう。


「最近の若者は隅に置けんな〜。……って!」

突然おじさんが目を見開く。

「お、お嬢さん。歳は?」「十ですけど……?」


はっ!? わたしとしたことが! しらないひととめをあわせたり、はなしたりしちゃだめっていわれたでしょ! ましてやコジンジョーホーをおしえるなんて!


「どうしたの貴方。」

「そろそろ候爵様の末娘が十になると……」

「あ、あ、た、確かにあの()の服、凄く上物だわ!」

なんか、ボソボソ言ってる。十歳で彼氏彼女いるとかすごいって話かな? よく聞こえない。

「あの、どうされたのですか?」

「い、いえ。なんでも。」「た、楽しんでくださいね。」

そう言うと、おじさんたちは去って行った。何だったんだ?


―――それよりも。

「ルフレ。なんのつもりかしら?」

そう聞く私の顔は綺麗な笑みを浮かべている。

「ハ、ハハハ。ちょっとふざけただけじゃないか〜。」

スッ。と真顔にしてみる。

「ごめんなさいっ!」

怒ったお母様の真似作戦、大成功!


コホン! 落ち着いたところで、事の成り行きを説明しよう。


ルフレが私の友達兼従者兼護衛(笑)に任命された後、お父様がこの家のしきたりについて教えてくださった。

要約するとこんな感じ。

ライグランツ家の子供は、十歳になると領内の街に潜入して、その実態を確認するのだ。

―――まぁ、潜入とか調査とか言ってるけど、実際にはお忍びで市井に出向くだけだ。

お小遣いは千円です! やったー!


「まぁ、うちの領地はきちんと管理しているから、安全だとは思う。だが、気をつけろよ。」

「あらあら貴方。楽しんでおいでって言うんじゃなかったの?」

お母様に言われて、お父様は「ウッ」とダメージを受けたのだった。



そんなこんなで、私たちは今、町に潜入しているのだ。

「あまぁ~い。」「そうだね~。」

……うん。全く緊張感が無い。マァイイヤー!

モチのロンだけど、ちゃんと平民の服で歩き回ってますよ、

ええ。生地は上等なものを使ってるんですけどね。

ありゃ? よく考えるとさっきのおじさんたち私の正体見破ってたんじゃ……。わ、私知〜らない!


クレープを食べた後、私たちは街を見回ることにした。

威勢の良いの声が聞こえる商店街。

お昼ごはんの良い香りのする住宅街。

「お父様、しっかりお仕事してるのね。」

「うん。街の人たちの様子からよくわかるよ。」

「この国で一番安全・安心に過ごせる街じゃない?」

「そうかもしれないね。」

そんな話をしながら、私は前方にフードを被ったキョロキョロしている少年を見つけた。背丈的に同い年かそれ以上だろう。

「ねぇ、ルフレ。あの子……。」

ルフレも少年を見る。

「助けてあげようって?」

私が頷くと、つくづくお人好しなんだから。とか文句言いながら許可を出してくれた。

「でも、名前を言ったり、貴族とバレるようなことがないように。……まぁ、僕も行くから大丈夫だと思うけど。」


「ねぇ、どうしたの?」

私が声をかけると、フードの中から蜂蜜色の瞳が覗いた。

「……道に、迷ったんだ。駐屯地まで行きたいんだけど。」

意外と声が低い。年上かな?

「そうなんだ。案内してあげる!」

私は少年の手を取り、歩き出した。


「君たちは?」

はい、いきなり危ない質問きましたー!ど、どうしよ。

チラッとルフレを見る。

「この辺に住んでるんだ。僕らは幼なじみで、いつも一緒に行動してる。」

ないっす~! 素晴らしい説明! 確かに嘘ではない。重要な事を言ってないだけでね!

「へぇ、そうなんだ。僕は知り合いに会いに来たんだけど、初めて来るところだから、迷子になっちゃった。」

えへへ。と笑うその子は、王都の方から来たらしい。

私たちは、王都と候爵領(ココ)の違いや、今流行りの本など、他愛もない話をした。


「この道を真っ直ぐ進めば、駐屯地につくよ! もう迷わないはず。」

「ありがとう。……君たちは一緒に行かないの?」

ウグっ! また危ない質問きましたー! ルフレ〜!

「昔、兵士さんにイタズラして怒られたことがあって。まだ顔を覚えられているから、行きたくないんだ。」

ないっす~! 用は顔見知りの兵士に見つけられると候爵令嬢だってバレるからってことだけど。

「そっか。ありがとう。……そういえば、名前を聞いてなかったね。なんていうの?」

ほ、本格的に危ない質問!

「それじゃあ私たちはこれで。気をつけてね~!」

逃げるが勝ち! 走れー!

「あっ! 待って! お礼を……」


「はぁ。はぁ。」

「急に、走らないでよ、はぁ。」

―――シン、ドイ。

なんかよくわかんないけど、最初の公園まで戻って来ちゃった。

日は傾き、晩ごはんの香りがしだした。

子供たちは親に連れられ、帰って行く。

「よし、私たちも帰ろうか。」

「そうだね。」


こうして、私たちの領地実態潜入調査は終了したのだった。

面白いっと思ったそこの貴方! ブックマーク、いいね、高評価お願い致します!

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