怒涛?の展開
奴の隣にいたのは俺の妹、亜美であった。
そして、俺の妹は奴の腕にぶら下がるようにして歩いていた。甘々である。俺はひどい衝撃を受けた。
「どういうことだ。何故、奴の隣に俺に妹がいる?」
頭の中ではわかっていた。妹は奴に惚れている。そして、Nは俺の妹、彼女、そして学年一の美少女と三股をしている。仮にも俺は奴を親友だと思っていたのだが、それを完全に裏切られていた。奴は俺をどう見ていたのだろうか。
俺は奴のところに行き胸ぐらを掴んで、ぶん殴ってやりたい気持ちを抑え込んだ。
奴を痛みつけるのはまだだと。
次に考えたことは妹についてである。まさか、妹まで裏切っているのか?分からなかったが、妹とに関してはまだ希望があった。
俺は妹が二股を許さない女であることを知っている。昔、妹の友達が浮気をしていると妹が知ったとき、それについて今すぐやめることを忠告しておいたのが功を奏し、彼氏にバレる前に二股の関係を解消するのに成功して、今もベタベタだという話を妹にされ、俺はまたそれをNに話した。それは最近話したばかりなので、Nは覚えているだろう。そのため、Nは浮気について話さないと考えられ、妹がNが他の女と付き合っていると知っているとは考えにくい。
それらを根拠として妹は俺を裏切っていないと考えることにした。
だが、そう考えようとしても気持ちが悪く、それ以上は見たくなかったため、写真を撮って帰ろうとすると肩を叩かれた。驚いて振り向くと、いたのは塩谷君であった。
「来てたのか。」
「ちょっと心配になって、というか誰、奴の隣にいるの?」
「…俺の妹だ。」
「???どういうこと???」
「見ればわかるだろ。」
「惚れてるな。奴も中々やるな。」
ジロっと塩谷君を睨む。
「いや、すまない。どうするんだ?」
「何を?」
「妹さんだ。」
「裏切られていないと信じるさ。」
「願望プレイングか。」
地味にウザいことを言ってくるので、さっき頭に浮かんだことを話す。
「一応、根拠があってな。昔、妹の友達が浮気をしていると妹が知ったとき、それについて…(以下略)…付き合っているのを知っているとは考えにくい。これが根拠だ。」
「あんまり、頭に入ってこなかったわ。まぁ、とりあえず、願望プレイングではないのは分かった。」
「まぁ、それでいいや。」
「あんまり気にすんなよ。」
「?」
「結局、勝つのは俺らだから。」
「ああ。」
いいこと言うじゃねぇか。
「ああ、後もう一つ。」
「何、塩谷君?」
「塩谷君って言うのをやめて、影の支配者とでも呼n…。」
「わかった、相馬。これでいいか?」
「ふっ、仕方ない。貴様と俺の仲だ。認めてやろう。では、貴様のことは…。」
「勇樹。勇樹と呼んでくれ。どこぞの魔王相馬。」
どこか嬉しそうだ。俺が乗ってやったからだろうか。
「あの、来てもらって悪いが、今日は疲れたから帰らない、塩t…相馬。」
「ちょっと待て。奴の動きを見ろ。」
「?」
奴の動きをよく見ると…ソワソワしていた。しきりに腕を見ている。
「めっちゃ、腕時計見てるな。」
「ああ、勇樹、この後何かあるとかNから聞いてるか?聞いてないと思うけど。」
「知らん。」
「絶対何かあるぞ、これは。何か匂う。この探偵、塩谷相馬には隠しごとはできない。」
「根拠は?」
「勘?」
いや、残念すぎる探偵だ。世界中の探偵に謝罪していただこう。
その後、しばらくNと妹の動きを見ていると…
「ん、別れたな。」
「ああ、どうする、勇樹。」
「もちろんNを追うさ。」
「そうぁ。じゃあ、奴を追おう。そして隙あらば…。」
「おいおい、あんま物騒なこと言うなよ。そして、変なことすんなよ。」
相馬のセリフに乗って突っ込むと、
「さあな。俺のやることは全てデスティニーによって定められている。だから、それに従うまでさ。」
普通にかっこいい。
そんなくだらないやりとりをしながら奴を尾けていくと…
「おい、あいつの向かっていっている方向って…まさか…。」
「まさかのまさかだろうな。人の妹と付き合った後に行くとは。中々やるな。誰とヤる気だ?」
「さあな。予知能力は俺らに与えられていないから分からないし、まだ確定していない。」
奴はある建物の前の電柱の側で立ち止まった。
「ほとんど確定しましたが?」
「…。」
そして、しばらく電柱の影からNを見ていると、反対側から見たことのある女が出てきた。
「あいつって…まさか。」
「よもやよもや、和田希とはな。」
気滅の刃の恋獄さんか。
「これで四人めだぞ、あいつ。」
「ただの53だな。あいつ。」
相馬が俺の意見を代弁してくれる。
色々と考えている間に説明すると和田希とは隣のクラスのギャルだ。相馬も俺もあまり彼女とは関わりがない。
そうこうしている内に奴らはラブホに入っていった。その中で男女が何を致すかは話すまでもないと思う。
「どうする?」
「どうする?」
このままでは永遠にオウム返しだ。
「待ってても無駄だろうから、とりあえず、帰るか。色々とあったからな。」
「ああ、今日は付き合ってくれてありがとう、相馬。」
「当然だろ。仲間なんだから。」
「…。じゃあな。また明日。」
「おう。」
俺の頭の中には今までの一連の流れ、相次ぐ裏切りから、相馬を信じていいのか不安が生じたが、なぜか今はそれより優花について必死に考えていた。
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