堕ちる者(Nサイド)
Nくん視点回です。
ー中山サイドー
俺が初めて勇樹と菜月に会ったのは小学校に入ったときだった。
勇樹とは4年生から始まったクラブ活動、要は部活で同じバスケクラブに入り、ペアを組んだことから仲良くなった。
当時、菜月は勇樹によくくっついていた。
その時はまだ菜月に対して恋心も何も抱いていなかった。
俺らが中学生に上がると菜月と勇樹は離れた。おそらくお互い思春期に入ったからだろう。
俺はその時からさらに輝き出した菜月に惚れた。ただ、俺は小学生時代の勇樹と菜月の関係もあり、なかなか菜月にそれを告白できないでいた。
ただ、中学二年生のある時、俺は勇樹が学年で二番目に可愛いと言われる小泉優花と付き合い出したことを聞いた。
俺は勇樹からそのことを聞くと菜月に告白した。今まで勇樹の存在によって告白しにくかったが、勇樹の隣が埋まったことにより俺は一気に強気になれた。
そこで俺はOKを貰い、付き合い始めてから大体四ヶ月が経ち、クリスマスが訪れた時、俺は菜月を特別な関係に誘った。
ただ、彼女には断られた。
彼女は言った。
私にはトラウマがあると、昔私が小学生の時によくわからないおじさんにトイレに連れ込まれたことがあると。幸い身体自体は無傷だったが、それ以降それがトラウマになっていると。
だから、克服できるまで待ってほしいと。
そう言われたから、俺は我慢していた。
この中学時代はまだ勇樹に対してそこまで劣等感を抱いていなかった。
ただ、それは勇樹の彼女の優花によって変えられた。
高校に入ってから四ヶ月が経った頃、彼女は勇樹が私に手を出してくれないと、どうすればいいかと俺に聞いてきた。
ちょうどその頃、俺はクラスで勇樹人気が高まっているのを知っていた。それが少し悔しかったのと妬ましかった。中学の時は俺の方がモテたのにと。
俺には勇樹がなんで手を出さないのかは分からなかった。だから適当に理由をこじつけて冗談半分のほんの悪戯心、俺の劣等感が混じっているかもしれないがまぁとにかく悪戯みたいなもので優花を誘ってみた。
「…じゃあ、俺と練習しておかないか?いつかあいつが責任を取れるようになったときのために。上手い方が勇樹も喜ぶだろ」
「…本当?」
「ああ、本当、本当」
俺は冗談のつもりで適当に返事をしていた。
「…じゃあ、練習お願いしてもいいですか?」
「…えっ?いいの?」
「喜ぶんですよね。だったらお願いします」
「…じゃあ、俺の家今誰もいないから行こうか」
そうして俺の冗談によって、この日俺の家で俺と彼女は逢瀬を重ね、お互いにとっての初めてを真に愛するもの以外で捨てることになった。
ただ、俺はそれで味をしめて、勇樹の妹の亜美、そして同級生のギャル、和田にも手を出した。勇樹の妹には13歳まで待ってほしいと言われたので果たせなかったが、和田とはやることに成功した。
俺はここで男の夢?であるハーレムを現実で築き上げることに成功したはずだった。この時俺は勇樹に勝てたと思った。
勇樹によって突然崩されるまでは。
奴は後夜祭で無慈悲に俺の築き上げたものを崩していった。
俺も抵抗したが無駄だった。
俺が何もしていないと言っても、奴に図られたと言っても誰も俺のために動こうとはしなかった。
俺と関係を持った女子には裏切られ、菜月にも見捨てられた。
俺はそれにより勇樹に対して完全なる敗北を知り、負の感情を抱いたまま会場から逃げた…。