決戦！N&Y… 前夜
そして俺が忙しい学校生活を送っているとあっという間に、決戦の日の前日の夜が訪れた。
俺は最後の確認とばかりに菜月に電話をかけた。
二回目の着信音で菜月は出た。
「あ、もしもし菜月。今ちょっといい？」
「良いよ。私も今ちょうど電話しようと思ってたから」
「…じゃあ、明日のおさらいしてもいいか？」
「もちろん。いいわよ。私もしたかったし」
俺は彼女のいつもと変わらないその声に安堵を覚えた。
俺は「いつ暴露するか？」や「どんな流れで復讐に持って行くか？」など簡単な質問を何個かして最後の質問をした。
「…あのさ、こんな大変なことやるなら予め話を通しておいた方がいいかな？」
「誰に？」
「後夜祭実行委員に」
「…話さなくてもいいけど…、話さないと確かに少し面倒なことになるかもしれないわね…。ただ、…ちょっと遅すぎるけど」
俺は彼女のその言葉に、時計を見る。
もう22時。確かに少し遅すぎるかもしれない。ただ、俺はその委員長と知り合いだった。
「言わないよりはましだろ…。明日、直接直段判してくる」
「…分かったわ。それだったらその件については任せていいわね」
「ああ」
俺はこれで聞きたいことを聞き終わったのでフゥと息を吐き出した。
そして、お礼を言いながら尋ねた。
「ありがとう。俺からはそれくらいかな。菜月は他になんかある？」
「…和田さんのことは聞かないのね」
俺はその質問に携帯を耳に当てながら頷いた。
「…ああ。もう、俺の中では決まったから…。何か希望ある？」
「…特に」
「…いいのか…。まぁ、いいや。また明日」
「ええ、おやすみなさい」
「ああ、おやすみ」
俺はそう言って菜月との電話を終わらせ、ベッドに倒れ込むとヤッホー掲示板で俺の翼「恋愛強者」さんに「明日決戦の日です」とだけ送った。
そして、俺は興奮と一抹の不安をまといながら、ベッドに入った。
だが、すぐに眠りにつくことは出来なかった。
仕方なく俺は起き上がり、安眠用BGMを流して心を落ち着かせた。
俺はそれを聴きながらベッドに潜り込んだ…。
翌日、結局あまり寝れなかったが、俺はいつも通りの時間に起き出し、制服を着た。
鏡の前で髪の毛を整えた。朝ご飯を食べた。
いつ通りの行動をしているはずなのに、まるで自分じゃないみたいだった。
少し指が震えているのか、上手いこと掴んだり、開けたりなどの動作ができなかった。
俺はその手でヤッホー掲示板を開き、返信が来てないことを確認すると、返信は返ってこないだろうなとは思いながらも覚悟を胸に「いってきます」とだけ打った。
そして体を軽く回した俺はドアを開けて言う。
「行ってきます」
部屋から出てきた亜美が寄ってきて言う。
「いってらっしゃい。お兄ちゃん」
俺は軽く頷き、手を振りながら戦場に向かった…。
