母からの言葉
夜明けが来る。
遂に来てしまった月曜日、学校に行かなければいけない。
とりあえず、制服に着替えて、朝ご飯を食べる。俺の好物である卵かけご飯である、昨日親に頼んだ。
カツ丼の方が良かったかもしれないと思う。朝からだが。
ちなみにもう親はいない。朝ご飯を作って仕事に行った。
食べ終わって、歯磨きをして、玄関までくる。
靴を履く。いつもなら、さぁ行こうとなるのだが、もちろんならない。
玄関の前でストップがかかる。動けないのだ。
怖い、恐ろしい、苦しいなど全ての負の感情を背負っている。
いま、俺は帰宅部を学校に作り、部費を申請するより、難しいことをしている。
家から外に出て学校に行くということだ。
どうすればいい、どうすればいい。
頭がおかしくなりそうだ。
俺を救ってください、恋愛強者さん、どうか。
この決心しては裏切っていく情けない俺を。
ガチャという音と共にドアが開く。
顔を上げると母がいた。
「ちょっと忘れ物しちゃって。玄関に突っ立って何してんの。」
ほらほらどいてというように俺を押し退けて奥に入り、出て行こうとする。
「あら、学校行かないの。」
「行きたくない。」
「なんで。」
「行きたくないから。」
「小泉構文はいいから、はい行くわよ。」
「ちょっと…。」
あれやこれやという間に外に追い出されてしまった。
「まだ行く気にならないの?」
「まぁ、うん。」
「仕方ないわね。ここで名言を一つ。」
「はぁ。」
それしか反応しようがない。
「苦いもの、酸っぱいもの食べると苦い思いをするわね。
甘いものを食べるっていうのは、おいしいと感じたいからなの。
つまり、おいしい思いをしたいということなの、わかる?
朝ご飯にあなたは卵かけご飯を食べたわね。おいしい思いをしたいからじゃないの?
学校に行っておいしい思いしてきなさい。」
ちょっと違うし、こじつけ感があるが何故か納得してしまった。
目から水が出てくる。上を向いて言う。
「雨が降ってきたな。」
空は晴れていた。母は何も言わない。
「行ってきます。」
「行ってらっしゃい。」
親は笑って見送ってくれた。
走って学校に向かう。遅刻スレスレであったため、特に中山と話もせずに済んだ。
授業中、俺はなんというか、ずっと考えていた。本当に何も出てこなかった。しかも、そのせいで授業の内容も頭に入ってこなかった。
〜一限終了〜
「勇樹、今日どうした?珍しく遅刻スレスレだったな。」
「いや、ちょっと寝坊して…」
いつもの口調で言えたであろうか。ちゃんと奴の目を見て言えたであろうか。
「ふーん、珍しいな。まぁ、いいや。てか昨日さ…」
俺の顔色が急激に悪くなる。奴は気づいたようで話を止める。
「おい、大丈夫か?」
「すまん、気持ち悪い。」
とだけいいトイレに駆け込む。吐いてしまうはずだった、なんとか食い止めた、自分の意思で。ここには俺しかいない。助けてくれる奴もいない?いや、いるじゃないか、あいつが。ただの希望だが。なんとか立ち上がり、あいつに会いにトイレから出て、隣のクラスにいった。
そして、呼んだ。
「すみません。塩谷くんいますか?」
またまた、文字数少なめです。すみません。今後かさ増ししていきます。
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