表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
裏切りと恋の協奏曲  作者: 磯城(シキ)
43/73

さぁ、どうする?

 「いいけど。…どうかしたの?」

 「ちょっと危なかった。俺がNを、…いや中山を避けてるのを中山に気付かれそうになった」

 「…気付かれそうになったということは気付かれてはないのね」

 「ああ」

 「それならまだ大丈夫よ。今からでも間に合うわよ」

 「…それは、俺が今まで通り、俺が奴の裏切りを知る前と同じ態度で奴に接しろってことか?」

 「そうね。できない?」

 「…いや、やる」

 「頑張ってね、…パートナー」

 「…ああ、ありがとう、菜月。おやすみ」

 「おやすみなさい」


俺はそう言って電話を切る。


 「ああ、やるか…」


今は中間試験二週間前、俺は勉強に取り掛かる。

そうして、俺が勉強していて、ふと時計を見上げた時には深夜一時を回っていた。


 「そろそろ、寝るか…」


トイレに行き、チラッと隣の部屋を覗くと亜美はまだ机に向かっていた。

偉いなと思いながら、俺は亜美に声をかける。


 「頑張ってるな、亜美。おやすみ」

 「あっ、お兄ちゃん。おやすみなさい」


そう返事が返ってきたのを俺は確認してベッドに入る。



翌日、俺は学校に行き、以前のように健汰に「おはよう」と一言声をかける。


 「ああ、おはよう、勇樹」


と返ってきて、そこから授業開始まで会話に付き合わされた。


そうして、昼ご飯も一緒に食べてやった。

ここまでしてやれば満足かと思ったが、奴は俺が音楽部に行くときまで着いてきた。

俺が音楽部に着くと帰って行ったが。


音楽部に俺が一人で入ると苦笑いをしながら相馬が寄ってきた。


 「大変そうだね」

 「ああ、仕方ないけどな…。あと、一ヶ月の辛抱だ」

 「…一ヶ月?二ヶ月半じゃなくて?」

 「ああ、そういえば話してなかったな」


俺は相馬に計画変更の話をする。


 「ふぅん。なるほどね。…というか今聞く限りだと、下村さんは彼が少なくとも四股かけてることは知らなそうだね」

 「…ああ、多分菜月は知らないはずだ」

 「知らせなくていいの」

 「…正直、迷ってる。正直、残りの二人が妹と、特に関わりのない和田だからな…。あと、菜月は奴のことを愛していないと言ってるけど、それが本当か分からないからな…。無駄に傷つけたくない」

 「…難しいね…。和田さんの対処どうするの?」

 「…断罪をどこまでするのか…。俺一人じゃ決めかねる。どうすればいいと思う?」

 「僕が決めるの?当事者じゃないのに?」 

 「確かにそうだな…。すまない」


どうする?俺は菜月に相談するべきなのか?

俺は部活中に考えようと思ったが、昨日のことを思い出し、一旦頭の隅に追いやる。

そうして、俺は練習に集中する。

二時間ほど経つと顧問が部員を集めた。


 「お疲れ様です。今日の部活は終わりです。一ヶ月後に向けてこれからも各自頑張ってください」

 「「はい!」」

 「それではさようなら」

 「「ありがとうございました!」」


俺が楽器を軽く片付けていると相馬が寄ってきて聞いてくる。


 「どうするか決めた?」

 「…いや、まだ」

 「まぁ、まだ一ヶ月…されど一ヶ月だから」

 「ああ、分かってるさ」

 「まぁ、それならいいけど。バイバイ、また明日」

 「ああ、じゃあな」


俺が相馬にそう返すと相馬は手を回しながら、部室から出て行く。


俺は一人で暗くなった空の下を歩き、家に帰り、昨日と同じようにシャワーを浴びて夕飯を食べる。

ただ、俺は菜月に電話をするのは一旦踏みとどまった。

今日一日悩もうと思ったからだ。


俺はそのあと、勉強をしている内にいつの間にか俺は菜月に話すかどうかについて忘れていた。

ふと時計を見ると偶然昨日と同じ深夜一時だった。


 「寝るか」


俺はキッチンに行き、蛇口をひねる。キュッという音とともに水が出てくる。

俺はそれをコップに入れ、カラカラの喉に流し込む。


そうして、部屋に戻る途中で、さりげなく灯りの漏れている妹の部屋を覗く。


 「あれ、亜美?」

 「…」


亜美は机に突っ伏して寝ていた。

俺は部屋の外からもう一度亜美を呼ぶ。

ただ、それでも起きる様子はなかったので、俺は「ごめん」と謝ってから亜美の部屋に入る。

俺は亜美をベッドまで運ぶことを一瞬考えたが、却下し毛布を持ってきて、亜美の体の上にかけ、「おやすみ」と声をかけ電気を消した。


俺は自分の部屋に戻り、首を回してベッドに横たわった。



翌日、俺が学校に行こうとすると亜美が話しかけてくる。


 「昨日、毛布かけてくれたの、お兄ちゃん?」

 「ああ、ごめん。勝手に部屋に入ってかけちゃった」

 「そうじゃなくて、ありがとう」

 「えっ、ああ」

 「いってらっしゃい」

 「あっ、ああ、行ってくる」


俺は家を出て、昨日と同じように過ごす。

そして、放課後になる。

Nは俺に「じゃあ、また明日」と言い教室を足早に出て行った。

それを見た俺は相馬にそれを話したが今日の尾行は中止にさせてもらった。試験二週間前だったからである。


相馬にそう言い、家に帰っている俺はまだ知らなかった。この後の展開を…。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ