決着1
没案です。
ー優花サイドー
勇樹くんの家に行った日あたりから数日間私は軽い頭痛と微熱に悩まされていた。
些細なものと、勇樹くんに気を使わせそうであったため、私は誰にも言わずに薬を飲んでいたが、流石に一週間続くと気になってきた。
そして、そこからさらに誤魔化しながら生きていくうちに二週間が経った。
私は体のある異変に気付かされた。
生理がこない。
生まれてから始めての経験に私は慌てた。
生理がこない。それが表すのは一つしか私は知らなかった。
保健体育の時間で習ったものしか。
私はネットでそれが私に起きてるとしたら起こりうる症状について調べた。
そして私は愕然とする。当てはまっていたからである。
動悸する胸を抑えて私は床に座る。
大丈夫、大丈夫、健汰くんにはゴムをつけてもらっていた。
生理が止まる理由はストレスとかもあるって書いてある。
…ストレス…。
私は帽子を目深に被り、検査キットを買いに行った。
そして、家に帰ってきて、震える手で使い、目を閉じる。
そして、目を開けるとそこには恐ろしい光景が、いや恐ろしい線が広がっていた。
その赤紫色のラインは妊娠を示していた…。
私は全ての感情を吐き出すように泣いた。家には誰にもいないから誰も私に言ってくることはない。
どうすればいいのか分からなかった。
この原因を引き起こしたもう一人の人間に私は電話をして、話した。
だが、私は見捨てられた。
知らねぇよ、そんなこと。お前が他のやつとどうせやったんだろ。と言われた。
違う、あなたとしかやってない。そう言っても無駄だった。
非常にも電話は切られる。
勇樹くんに相談したら許してくれるだろうか?
彼は滅多に怒らない。
それでも私は自信がなかった。彼には嫌われたくなかった。
私は家族宛、勇樹くん宛に手紙を書き、スマホのタイマーのアラームを五分後にセットし、ある準備をする。
お風呂に行き、水を入れてくる。そして、包丁を持ってくる。
私は本で読んだ通りに行動に移す。
水が赤く染まっていく。
私が最後に見た光景は家の外にあるまだ花の咲いていないハナズオウの木だった。
部屋にはいつまでもスマホのアラームが鳴り続けた…。
ー勇樹サイドー
彼女が俺の家に看病に来てから三週間が経った。
その間は中間試験があったため、優花とは会わなかった。
軽くメールや電話のやり取りはしたが。
そして、今日は中間試験後初の休日だった。
優花は今日やりたいことがあるらしく俺は家でゴロゴロ試験後の休暇を謳歌していた。
俺はカーテンを開け、一人でここまでに起きたことを頭の中でゆっくり整理しながら、今後の計画について考えていた。
この少し肌寒いような空気に差し込む暖かい光を俺は浴びている内に俺を眠気が襲った。
俺は抗うことなく暗闇に落ちていく。
俺が次目覚めたのはスマホの通知音でだった。部屋に差し込んでいた光は消えていた。
偶然にもその時間は優花がこの前俺の家に来た時に俺が目覚めた時間と同じだった。
「なんだ?この通知の数?」
俺のスマホには普通はありえない数、といっても10個ほどだが通知が来ていた。
最近の通知から見ていく。
一つ目は同じ中学で優花と同じ学校に行っている女子の山咲からだった。
「ねぇ、どういうこと?何があったの?」
どういうことか俺の方がさっぱり分からなかった。
誰からのメールを見てもほぼ同じことしか書かれていなかった。
そして、残りの二人は優花からと相馬からだった。
優花の方から見る。
そこには短くこう書かれていた。
「ごめんなさい。」
意味が分からなかった。
相馬の方を見ようとした時、相馬から電話がかかってくる。
「もしもし」
「何があった?」
「何があったのかさえ俺は知らないんだが」
「死んだんだよ!小泉優花が!」
次回も没案の予定です。