対応
俺はしばらく雨がしとしとと降る中泣き続けた。
俺が泣き止むまで彼女は俺の背中を軽く、優しくさすってくれた。
「それでその、いつまで僕はあなたに抱きつかれていれば?」
「あなたが満足するまでだけど?」
先程は苦しい方が勝って気づかなかったが、この体勢は少しまずいかもしれない。何がとは言わないが。
「もう、大丈夫だから」
俺は彼女を離しにかかる。
「もう、一人で抱え込みませんか?」
「…善処する…」
「絶対と言うまで話しませんよ。」
「…誓うよ」
「ちゃんと言ってください。」
「一人で抱え込まない。誰かに相談するよ」
彼女は俺がこういうと満足とばかりに小指を差し出してくる。
「?」
「指切りげんまんですよ。」
「ああ…」
俺は小指を差し出す。
彼女は微笑みながら歌う。
「指切りげんまん、嘘ついたら針千本飲ーます。…これで逃げれませんよ。」
「…そうだな」
彼女が退くと俺は傘を片手にもう片方の手で彼女を立たせる。
「遅くなっちゃったから送るよ」
「…ありがとうございます。」
俺は彼女を家まで送る。
彼女の家に着いた時には雨は止んでいた。
「じゃあな。あと、ありがとな」
「ええ、どういたしまして。…おやすみなさい。」
彼女はヒラヒラっと手を振って家に入る。
俺は雨上がりの夜の空の下を水溜りをかわしながら帰宅する。
菜月がドアを開けてこちらを見ながら、微笑み何かを呟いてるのも知らずに。
「昔とは逆になったわね…。」
俺は雨上がりの空の下を水溜りをかわしながら歩いて家に帰る。
体が雨に濡れていたから今になって寒くなってきて少し小走りになり、家に着く。
家の扉を開けて、自分の部屋に行こうとすると亜美が少し亜美の部屋から安心したような顔で覗いているのが見え俺は声をかける。
「どうした?」
「いや、何でもない。」
「そうか?」
妹はまた部屋に戻ってしまう。
「変なの。まぁ、いいや」
体が震える。
「ああ、さみ」
風呂に入るか迷ったが俺は疲れていたのでそのまま寝てしまった…。
翌日、俺は頭が重かった。
視界がぼやけて、上手いこと動けなかった。
頭に手を当てるとすぐに分かった。
「風邪か…」