パートナー
俺は何が本当で嘘なのか分からなかった。人間不信になりそうだった。
ふらふらになりながら家に帰る。
「ただいま…。」
「おかえり、お兄ちゃん。」
亜美が出てくる。
そういえば、亜美も疑いたくはないが…。
「どうだった?」
「…特に、何も。」
「嘘つき。」
「えっ?」
「声が疲れてる。」
「…そうか。散々連れ回されたからだろうな。」
「…嘘つき。」
亜美は何か吐き捨てで亜美の部屋に入ってしまう。
なんだったんだ?
俺は風呂に入り、夜飯を食べる。
部屋に戻りスマホを覗くと、優花からメールが来ていた。
『今日はありがとう。楽しかったよ。』
俺はそれを見てベッドに倒れる。
真実とは何なのか?
人間の心があるのか?
俺を殺したいのか?
「平和にしてくれよ…。知らない方が平和だったな…。」
俺はやりきれない気持ちになった。
もう奴らをボコボコにしてやりたかった。
全員が敵な気がした。
俺は家の外に飛び出す。
雨が降っていたが俺は構わず、傘を差さずにぶらぶら彷徨いた。
公園に入り、ベンチに座り、雨に濡れる。
どうにかなってしまいそうだった。
「なんで俺はこんなに傷つけられてるんだ?」
俺は自嘲気味に誰もいない雨の降る空に呟く。
しばらく空を見ていると、急に影が俺を覆い、雨が止む。
「大丈夫ですか?」
「…。」
「って、勇くん?」
俺に傘を差してきたのは、菜月だった。
「なんでこんなとこに?ほら、傘持って、ずぶ濡れじゃない。」
「…。」
「勇くん!」
「…。」
「ねぇ、どうしたの?」
「関係ないだろ…。」
「関係あるよ!勇くんとは、パートナーなんだよ!」
俺の弱い心にはこのセリフは突き刺さった。
確固とした意志を持ったそのセリフは俺を反応させるのには十分だった。
「パートナー?」
「そうよ、パートナー!復讐するんじゃないの?」
「…。」
「そんなことより、なんでここに?」
「…。」
「ねぇ!」
「…。」
「話したくないの?」
「…。」
「言わなきゃ分からないわよ。」
「…。」
「ねぇ、お願い。話して、あのときみたいにまた後悔したくないの!」
「…。」
「勇くん、ごめんね。」
そう言って彼女は俺の頬を叩く。
鈍く俺に響く。
「痛っ…。」
「何があったの、話して。話してくれるまで雨に濡れるわよ。」
そう言って彼女は俺から傘を奪い放り出し、俺の顔を見つめる。
彼女が雨に濡れるのに、俺は何かを感じた。
俺は傘を拾おうとする。
彼女はそれを阻止しようと俺が立とうとするのを邪魔する。
俺は折れた…。
「…話すから、傘を差してくれ…。」