敷き詰められたレール
俺は迷った。
そして自分の性格を呪った。
一人では何もできない。俺は周りに俺を支えてくれる人がいなくては何もできない無力な人間だと。
ただ一つのことをするだけなのに止まっている。
「恋愛強者」さんの言った通りにして間違いだったことはないのに、彼女が正解、成功へと俺を導いてくれる翼なのに。
…導いてくれる?
そうか…俺は一人だけど一人じゃない。
というより何故気づかなかった?俺は今彼女の策で動いているのだから、そのレールの上を歩くのが一番安全で確実なのに。
俺は腹を括る。
ここまで俺を導いてくれた翼に全てを託すことにした、いやとうに預けていたが、それを再確認させられた。
「あの、菜月…。」
「ん?何?」
「その…話したいことがあって…。」
「…。」
いけ、俺!踏み出せ、俺!
「お前に…彼氏いるよな、中山…健汰。俺の…親友…でもあった男で、…その…そいつは…俺の彼女、…優花と…浮気をしているんだ…。」
「…。」
「証拠はこの写真だ…。」
「…。」
「それで、俺に協力してほしいんだ、奴らに地獄を見せるのを。」
「…。」
沈黙で返ってくるため何を考えているか分からないが大方戸惑っているのだろう。表情は読めないが俺はそう決めつけて畳みかける。
「…信じてくれ、頼む。」
「…知ってるよ。」
「えっ?」
今度は俺が戸惑う番だった…。
いい方向にも悪い方向にも俺のプランは崩れかけていく。
いい方向とは知っているなら説明をする必要がなくて楽なこと。
悪い方向とは、何故それで付き合っているのか分からないこと。俺は今までのせいでどうしても悪い方向に考えてしまう。
まさか…