区別
俺と菜月は裏切り者に引っ張られるように連れ回された。
正直なところ周りが全員敵なのでかなり辛かった。
そして何ヵ所か回った。
すると優花は全員に話し出す。
「ちょっと冷たいもの食べたくない?」
「いいね。」
とN。
「別にどちらでも。」
と菜月。
「俺もどちらでも。」
と断る理由は特にはないので俺は一応肯定しておく。
「じゃあ、私と中山君で買ってくるから下村さんと勇樹君はまってて。行こう、中山君。」
「ああ。」
止める暇もなく裏切り者どもは駆け出していく。
「ちょっと…。」
「…。」
菜月は少し思うところがあるようだが、俺は奴らが消えて少し気が楽になった。
裏切り者二人が消えると、話すこともないので沈黙が訪れる。
そうしてしばらく空白の時間が訪れる。
「遅いね。」
「ああ…。」
何故か中々戻ってこない。
「なんか思わないの?勇くんは。」
「?特に。」
何の話だか。
「はぁ…。」
菜月はため息を吐く。
「本当に何について私が聞いてるのか分かんないの?」
「ああ。」
菜月は頭を抱える。
「彼女が別の男と一緒に二人っきりなんだよ。」
「!」
忘れていた。普通の人は彼女は大切である。それに対して俺は冷静さを欠き、意識していなかった。怪しまれるか…。
「信頼してるの?」
「誰を?」
「二人を。」
何と答えるのが正解なんだ?嘘でも信頼していると言った方がいいのだろうか?それとも誤魔化すか?いや、誤魔化すのは更に怪しいか。ただありがたいななんて考え、俺は言う。
「二人のことを信頼しているから。」
「…そう。」
誤魔化せたか?大丈夫か?なんて俺が考えていると裏切り者二人がこちらに笑いながらやってくる。
「ごめん。遅くなっちゃて。」
「かき氷にするかアイスにするか味はどうするかとかで悩んじゃって…。」
二人はそう言ってアイスは俺ら二人に差し出してくる。
俺はそれを受け取り、裏切り者二人の手元をみるとその手にはかき氷が握られていた…。