暗号
朝が来る。鳥の囀りではなく、車と人の往来の音がする。
いつもとは違うなと思い時計を見る。見事なまでの寝坊である。
「ヤッベ。まずい。」
幸いまだ急いで着替え、急いで食べれば間に合うかもしれない時間である。
パッパと着替え飯を食べるためにキッチンに行く。
すると妹が寄ってきた。
無言で紙を差し出す。それを受け取り、見ると
『アタキモンナyチイノアヒサタw』
と書かれていた。
「なにこれ?」
「…。」
妹は何も言わずにキッチンを出ていく。
「はぁ、何だよこれ。朝から謎解きかよ…。」
しばらく考えても分からなかった。
「学校で相馬に聞いてみるか。」
そして時計を見て
「ヤベッ、遅刻だ!」
結局間に合わず遅刻をした。
そして、一限が終わり奴がこっちにやってくる。
「どうしたんだ?今日の朝。」
「いやちょっと寝坊して、その時点ではまだ間に合ったんだけど、そのあと…。」
それ以上は言わない方が吉だと俺の勘が言っていた。
「そのあと、何?」
「ああ、ちょっとお腹が痛くて…。」
「ふーん。まぁ、いいや。」
「すまない。ちょっと相馬と話すことがあるんだ。」
「ああ、りょ。」
あまり話したくないので相馬を理由にして逃げる。
といっても何も用がないわけでもない。
今日の朝、妹からもらった謎の紙の暗号を解いてもらえるかもしれない。
「相馬!」
「ん、どうしたの、勇樹?」
「今日の朝、妹から紙をもらったんだが、そこに暗号?が書かれてて…。解けないから解いてほしいんだ。もちろん、解けるならでいいんだけど…。」
「ふっ。この勇者塩谷相馬の辞書に不可能という文字などない。見せるんだ。」
「ああ、これだ。」
「じゃあ、中休みに来てくれ。授業中に解いておく。」
「授業中にやってくれるのかすまない。ありがとな。」
「貴様と我の仲だ。」
「ハハッ。頼んだ。」
頼んで教室に帰ろうとする。
「ん、なんだ?…いや、気のせいか。」
誰かに見られてる気がしたのだが…。
今度こそ教室に戻った。
「一体何を話していた?」
相馬と勇樹の会話を覗いていた者はそういうと教室に戻って行く。
ー二限終了後ー
鐘が鳴り授業の終わりを知らせる。妹が何を書いたかが分かるという期待と不安に包まれながら、相馬の席に行く。
「相馬!どうだった。」
「ああ、屋上に行こう。」
「そうだな。」
屋上に行く。
「話す前にいくつか質問をさせてくれ。」
「いいけど…。」
「じゃあ、一つ目。これを渡したのは妹さんで合ってるか?」
「ああ。」
「二つ目、これは妹さんの文字か?」
「ああ、なんか関係あるのか?」
「大いに。三つ目、妹さんと昨日何か話したか?」
「話したが…?」
「どんな話を?」
「昨日の出来事と奴の正体とかについて。」
「どんな感じだった?」
「妹は奴を愛していた。浮気の事実を教えても裏切ろうとしなかった。最悪なことに妹に全てを話したから、奴に伝わっている可能性もある。」
「ううん。ちょっと考えさせてくれ。」
しばらく沈黙が訪れる。
「妹さんに関してはちょっと俺に任せてくれないか。」
「えっ、なんで。別にいいが。暗号について気になるところがある。」
「それなら俺が聞いておくが。」
「話しにくいだろ。お願いだ。頼む。」
「ううん。じゃあ分かったよ。」
「じゃあ今日の放課後会わせてもらってもいいか?」
「いると思うからいいけど…。」
「すまない。じゃあ、それで頼む。」
「それで暗号は…。」
「妹さんに会ってからだ。」
「はぁー。お預けか…。」
鐘が鳴る。
「戻ろう。」
「ああ、戻ろう。」
そして、俺らは残りの授業を消化した。
次回で暗号の解答の発表をする予定です。
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