プロローグ
…わたしには幼馴染がいる。
社交的でクラスの人気者のわたしと違って、暗くて地味なヤツ。
コミュ障だし、ネクラだし、ザ•陰キャって感じの3軍男子。
しかも超がつくくらいの不幸体質!
1日に何回死にかければ気が済むの?ってくらい危ないことに巻き込まれてる気がする。
…ホントに、わたしがいなきゃアイツは絶対もう死んでるんだから。
最近本をよく読むようになった。
アイツが本をたくさん薦めてくれるから、それを片っ端から読んでる。
読書が趣味のアイツは、ホントに面白い本をいっぱい知ってて。
わたしも今まではマンガしか読まなかったけど、いろんなジャンルの本を読むようになった。
推理小説だったり、ホラー小説、恋愛小説、あとはライトノベルとか。
その中でも最近お店で見かけるようになったのは、主人公が時を戻したり生き返ったりするような力を持ってるお話。
大体の主人公はその力で自分の得になることをしたり、嫌いな人に仕返しをしたりする。
でもそれって違うでしょ。
そういう力っていうのは、自分の為じゃなくて大切な人が幸せになれるように使うものでしょ?
アイツが薦めてくれる本はどれも面白いけど、そういうお話はなんだかモヤモヤするからあんまり好きじゃない。
だからわたしはこの力を、アイツの為に使うの。
何も知らないまま、この先もずっと幸せに生きられるように。