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7 剣の授業

「皆、そろそろ着替えないと剣術の授業に遅れるわよ」


 ミリーを攻め立てていたらバーバラが注意の声を上げた。


 そうだった。おしゃべりに夢中で忘れてたわ。急いで着替えないと。


 着替えと剣を持って更衣室へと向かう。


 剣術を学ぶときは専用の練習着を使用し、胸当て、篭手、厚手のブーツ、ヘッドギアを装着する。


 男の子なら練習着に木剣と簡単な格好をするようだけど、女の子は傷がつかないようにと、伯爵様からお達しで、必ず防具をつけなくちゃならないのだ。


 女が、さらに貴族の令嬢がと、心ない言葉を受けることもある。けど、女だって弱いままではいけないわ。強く優しく逞しく。この時代を生き抜け、よ。


 なんて、伯爵様の受け売りなんだけどね。でも、わたしも強く優しく逞しくありたいわ。


「皆、着替えた?」


 いち早く着替えた剣術班長のバーバラが皆に問うた。


「まだよ」


「バーバラみたいに早く着替えられないわよ」


 わたしも皆も何度も着替えてるけど、バーバラみたいに早くは着替えられないわ。もうバーバラのは特技よ。


 それでも着替えるのに手こずることはなく、着替え終わった。


「じゃあ、皆。整列して」


 バーバラの号令で更衣室で二列に並び合う。


「胸当てよし。篭手よし。ブーツよし。ヘッドギアよし」


 各自、指差し確認をする。防具はしっかりと装着しないと怪我の元だからね。


「はい、向かい合って最終確認」


 向かい合い、お互いの装着を指差し確認する。うん、よし!


「では、練習場へいくよ」


 バーバラに続いて一列になって練習場へと向かった。


「──全員、整列!」


 練習場にはもう剣を教えてくださるリアーナ先生がいたため、バーバラが整列の号令をかけた。


 リアーナ先生は元騎士。まだ女性が騎士など烏滸がましいという時代に活躍した人である。


 いろいろな武勇伝は聞いてるけど、今は騎士は辞めて、ミオネート伯爵家に仕えることになり、わたしたちに剣を教えてくれてるのだ。ちなみに既婚者で、三歳のお子さんがいるわ。


「ご機嫌よう、皆さん。体調はどうかしら?」


「全員、問題ありません!」


 バーバラが代表して答える。


「よろしい。今日も無理をしないよう精進しなさい」


 はい! と声を揃えて返事をする。集団行動も学びの一つだから。


「では、準備運動の後、広場を五周。始め!」


 はいと返事をして準備運動を開始。いっちにーさんしーにーにーさんしー! と、体が温まったら広場を五周する。


 普通の御令嬢なら一周もできないでしょうが、私塾に通っているわたしたちなら余裕綽々。少し息を切らす程度で五周を走り切った。ふ~。


 少しの休憩を挟み、素振りを開始。ふん! ふん! ふん! 


 二十回も振ると、額に汗が浮かんでくる。


「ほら! 気が抜けてきたわよ!」


 リアーナ先生の激が飛び、気合いを入れ直して素振りをする。


 百回終了と同時に全身から汗が噴き出す。男性には見せられない姿てはあるけど、女しかいないのだから問題ございません。


「水分補給をしなさい」


 剣の稽古中は水分を小まめに取るよう教えられている。


 これはミオネート伯爵様からの教えで、汗をかくと体の中から水がなくなり血が濃くなる。そうなると体に悪いと言う。かきすぎたときは塩を少し舐めるといいそうよ。


「休憩終わり。二人一組になって打ち合いを開始」


 前回はマリーベルだったのでマリフェと組むことにした。


「マリフェ。よろしくお願いします!」


「クレーティア。よろしくお願いします!」


 打ち合いを開始する前はお互いに礼をし合う。


 これもミオネート伯爵様の教えで、礼に始まり礼に終わるのが武の道だそうよ。まあ、武の道を歩くわけではないので礼儀作法の一つとして受け入れてるけど。


 木剣の剣先をぶつけ、打ち合いを開始する。


 わたしとマリフェの体力や能力はどっこいどっこい。当てるのは防具をつけたところだけで、武というのも烏滸がましく、もう子どものお遊びレベル。でも、真剣にはやってますから!


 全力で、集中してるからすぐに息切れしてしまい、振りが鈍くなってくる。


「クレーティアとマリフェは終わり。休みなさい」


 息切れして返事はできないけど、頷いて打ち合いから外れて地に崩れてしまった。キツ~。


「二人は剣より体力をつけるほうが先ね」


 リアーナ先生がへたれ込むわたしたちを見下ろしながら飽きていた。


 わたしもそう思う。一般の御令嬢よりはあるて自負するけど、体を使う人らには到底敵わない。走り込みしたほうがいいかしら?


 次々と体力が落ちていった子たちも地面にへたれ込んでいった。なんとか立ってるのはバーバラだけだった。


「まったく、あなたたち体力なさすぎよ。今度から広場十周ね」


 えぇ~! 皆からの反対の抗議。だけど、元騎士のリアーナ先生には届かない。今度から広場十周が決まってしまいました……。


 動けないままへたれ込んでいると、お昼を報せる鐘が鳴った。


「もう昼か。今日はこれまで」


 ガクガクいう足に激を飛ばして整列する。


「ありがとうございました!」


 バーバラの号令に続いてわたしたちも挨拶。一礼して剣の稽古は終了した。あー疲れた。

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