34.エピローグ~ぶきっちょ親子の異界での生活は続くようだ~
「あー、皆、無事でよかったよ、今日はすごい濃密な一日だったけど宿に戻ろうか」
ユシアがそんなことを言う。
「って、あれ? 呼び出しだ。誰だろ」
ユシアを遮るように、何らかの通知が届いたようで、ユシアは締まりが悪いことに若干の気まずい様子を見せながらも指を耳にあてる。
「はい、こちらユシアです」
「――――」
「えっ、エシリィ? お久だね!」
「っ!」
エシリィという名を聞き、セナが少し慌てているようにも見える。
「どうしたの? 急に」
「――――」
「……通話の相手って誰なの?」
父が小声でセナに確認する。
……なんか急に馴れ馴れしくなってないか。
「エシリロフ様は亜人種の一つ、麗人……別名、エルフ……」
「エルフ!?」
「……? ……の女王……通称、魔麗王です」
「どうしよう、セナ。エシリィから情報で、なんか不審な人間グループが麗人の国にいるらしいんだけど来る? って……」
通話を終えたユシアが少し困ったようにセナに相談する。
「麗王からのご連絡を無視するわけにはいかないですよね」
セナは諦めたように目を瞑りながら言う。
「うーん、まぁ、エシリィだからそういうのは気にしないと思うけど、不審者ってのは、やっぱり気になるよね」
恐らくゲーム絡みだろう。
「では、王には私から連絡しておきます」
「うーん、そうだね……アオイとハルオさんはどうしますか? 報酬は出ないかもだけど……」
「勿論、行きます!」
「承知です。それじゃあ、皆、明日の行き先は麗人の国で」
「エルフって、あれですよね? 耳が長くて、長寿で、美人しかいない!」
父は先程からうずうずした様子であったが、ここぞとばかりにユシアに尋ねる。
「そ、そうですが……」
「うわ、まじか、いるのか……」
心なしかセナは、父に冷ややかな視線を送っているように見える……
というか、心なしか父のテンションが少し高いような……
何か……いいことでもあったのだろうか。
〈完〉
最後までお読みいただき本当に有難うございます。
本作は過去作のリメイクになります。リメイク元の作品でブクマをしていて、その作品の方が良かった方には申し訳ありません。
リメイク元は風呂敷を広げ過ぎて、エタっていたので、風呂敷を縮めて、完結させてもらいました。最後、駆け足になってすみません。。。改めて最後までお読みいただき有り難うございました。




