旧友
カン! カン!
ガキッ!
薄暗いアルコープで大剣と2本の小剣がぶつかりあう度、小さな火花が散る。
2人が闘う様子を見ながらキツネが大あくびをした。
{フン、馬鹿馬鹿しい。なにが使い魔だ。
俺が誰かのパシリなんかするかよ!ったく人間てのは、わかっちゃいないぜ。}
ぶつぶつ文句を言いながら、
{おい、クリス。そいつ、やっつけてかまわないぞ!}と、偉そうに言った。
{なに、言ってんのよ。どうして、こうなるの?}
内心溜息をつきながらも、この場を収めるためには適当に相手をすることだと心得ていた。
「へえ~いいねえ。女の子なのに。本気にさせてくれるってところがさ。」
相手はすっかり大満足で剣を繰り出してくる。
「これは、これは。驚いたよ。本当に彼女は剣を扱えるんだね。」
ディーンがヒューっと口笛を鳴らす。
「だから、カテランのボスを・・」
ジェレミーが言いかけたとき、怒鳴り声がした。
「何をやっているんだ!?」
「おいおい、マジで仲間割れかよ!!」
いつの間に来たんだろう?
ピーターとアレックスが呆れた顔でこの様子を見ていた。
「だいたい、クリスとと闘うのは俺が先だときまっているんだぞ!!
どこの他所者かは知らんが・・って。ケインじゃないか!!」
「おお~ケインだって? なんだあ? おまえこっちに、いつ来たんだ?」
懐かしそうに2人は闘っているクリスとケインの間に割り込んでくる。
{ケッ、しらけるなあ。}ネスはそう言うと、前足で髭をなでつけた。
闘いはどちらともなく剣を収める形となった。
「ううん・・なかなかいい。また相手をしたいものだな、クリス。」
ケインのあっけらかんとした言葉にクリスは内心苦笑した。
「いいえ・・私は別に。結構よ。」
愛想笑いを浮かべることもなく、連中を気にせず勝手にスタスタと歩き出す。
なんだか少し疲れたような気がした。
どうして・・今日は、こうもいっぺんに色々と有ったんだろう。
早くベッドで休みたい。
自室に戻る前に、カレンにお寝みの挨拶をするつもりでアンヌの部屋へ向かった。
{どこへ行く、クリス。お前の部屋はそっちじゃないぞ。}
ネスが追いかけてきた。
{カレンにお休みを言うつもり。まだ、アンヌの部屋にいると思うから。}
{そうか、そうか。それはいいな。あの部屋の匂いは悪くない。}
{ふうん。ハーブ好きなキツネって。ちょっと、いないわよねぇ。}
クスッとクリスは笑った。




