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ミチキサイド1

 ローションを使ったダンスの練習に励むトオルだったが、一筋縄では行かない。

顔にあざを作りつつも、とうとう朝を迎えた。


「くそっ…… もう、時間がねぇ」


 昼間は通常業務があるため、残された時間はその日の夜中しかない。

トオルは、ミチキに言った。


「俺はギリギリまで練習すっから、もし間に合わない場合は、お前が頼む」


「ま、マジで……」 


 





 昼間の業務が終わり、時刻は22:00。


「代役なんて、絶対無理」


 ステージの上でのダンスなど、考えただけで胃酸がせり上がってきそうだと、ミチキは思った。

フラフラとした足取りで寝床に戻ろうとすると、目の前に一匹のペンギンが現れた。


「こんばんわ、ミチキ」


「……へ?」


 そこにいたのは、メスペンギンのカオルコであった。


「ミチキ、今夜空いてる?」


 メスペンギンはディーンに独占されているハズ、とミチキは思ったが、目の前には間違いないなくカオルコがいる。


「も、も、もち」


「クスッ、落ち着いて。 じゃあ、こっち来て」


 手を引かれて、裏の岩陰に向かう。

これから何が始まるのかと、ミチキが胸を高鳴らせていると、カオルコが言った。


「連れてきたわよ」


「お前はもう下がっていいぜ」


 上のフロアのカクテルブースから、声がする。

見上げると、そこには自分よりも一回り以上大きい、マゼランペンギンのディーンがいた。

カクテルブースから颯爽と飛び降り、ミチキの前に立ちはだかる。

唖然としていると、ディーンが口を開いた。


「お前ら、ダンス大会とやらにでるつもりらしいな。 俺様の王国で、勝手なマネはさせねーぞ。 棄権しろ」


「棄権……」


 ディーンに逆らうことはできない。

力では間違いなく適わないだろう。

捻り潰されるのがオチだ。

それでも、ミチキは退かなかった。


「……嫌だ」


「だったら、そこのカオルコをやるよ。 お前、モテるためにダンス大会に出たいんだろ? 勝てるか分からねぇ大会にでるより、話が早ぇだろ」


 一瞬、揺れそうになったミチキだが、それじゃ意味がない。

自分の力で勝ち取ってこそ、意味があるのだ。


「くそ食らえ、だ」


「……後悔するなよ」

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