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神の使い

 息絶えたタコは、そのまま波にさらわれ、どこかに消えた。


「さっきの途切れ途切れの言葉を繋げると、恐らくこうだ。 「近所を焼く際は、ウチで賛美歌を聞く」 要は、タコんちの習わしを死に際に伝えたかったと」


「いやいや、絶対違うと思いますけど」


「何だよ、この解釈に不服でもあんのかよ」


「シンプルに、近い内、3匹の禁魚が蘇る、じゃ……」


 友恵は、はっとして口を手の平で覆った。

そっちか、と小さく呟く。


「……けどよ、3匹の禁魚って何だ?」


 トオルは、腕を組みながら、自分の見解を述べた。


「推測すけど、クラーケンとかじゃないすか? ポートロイヤルが壊滅したのも、実はそれが要因だったり」


「クラーケン? イカの化け物みてーなやつだっけか」


 クラーケンと海賊は切っても切り離せない。

それくらい、小説や映画ではよく扱われる題材である。

 その時だった。

突然、空が暗くなり、海がせり上がった。

同時に、大量の波が砂浜に流れ込み、トオル、ミチキは陸地の奥へと流された。

何かが、こちらに向かって来る。


「……」


 友恵は、絶句した。


「……嘘だろ」


 向かって来るのは、全長20メーターはあろうかと思われる巨大な魚。

金色の鱗を纏ったその魚は、縁日などでよく見かける、馴染み深い魚であった。


「クラーケンじゃねえっ!」


 禁魚は金魚であった。

体をくねらせながら、ポートロイヤル目がけて突っ込んで来る。

このまま何もしなければ街は壊滅してしまうだろう。


「……」


 普通なら迷わず逃げ出すシチュエーションで、友恵は前を向いた。

頭の中に鳴り響くのは、パイレーツオブ〇リビアンのテーマソングだ。

自分には勇敢な海賊の血が流れている。

ここで退くわけにはいかない。

金魚が迫る。

友恵は相手を睨み付けて、こう叫んだ。


「こっち、来んなアアアアアアーーッ」

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