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計画

 早速イルカは海中に潜り、エコーロケーションを展開。

これにより、反射する超音波で目視しなくても物体の形状を探る事が出来る。

広大な海をいちいち探らなくとも、沈没船の位置がピンポイントでつかめる、という算段だ。


「この先、船らしき物があります。 トオルさん、ミチキさん、僕の指示に従って、海の中を探って下さい」


「あいよ」


 アンクの指示に従って、海中を散策。

視界いっぱいに青い海が広がり、ありとあらゆる魚たちが、そこら辺を泳いでいる。


「逆に広すぎて怖いわ」


 普段限られた水槽を泳いでいるペンギンにとって、海は果てしなく広い宇宙。

下手に泳いで戻ってこられるか、心配になる。

それでも、この深い青色と美しい珊瑚礁が、トオルとミチキの胸を打った。


「トオル、あれかな?」


「……ん」


 しばらくして、何か船らしき物の残骸が見える。

沈没船であった。

トオルとミチキはその船の周りを泳いで、文字を探す。


「これがトミー号なら、ラッキーだけど」


 巨大な帆船だが、保存状態は極めて悪い。

陸に引き上げた瞬間、バラバラに崩れそうだ、とトオルは思った。

そして、船のボディに、T、の文字が見て取れた。


「トオル、いきなり来たかな?」


「まだ油断すんな。 トオル号かも知れねーぜ」


 んな訳ねーか、と独りごちたが、O、MM、と文字が続き、いよいよ確信した。


「トミー号だ!」


 ミチキが叫ぶ。

文字はかすれていたが、最後のY、の文字まで読み取ることが出来た。

トオルは、事前に友恵に言われた通り、メジャーを取り出し、船の周りの採寸を始めた。

そして、それが終わると、地上へと戻った。








「よくやったぜ、二人とも!」


 地上でトオルとミチキの頭をなで回す友恵。

スマホを取り出し、あるところに連絡を取る。


「……ああ、私だ。 船、見つけたからよ。 今から言う寸法通りのもん、作って用意してくれ。 頼んだぜ」


 友恵があるところに注文した物。

それは、巨大な浮き輪であった。

あの晩、友恵が思いついた計画とは、C、の形の浮き輪を船の両脇にはめて、浮かび上がらせる、というものであった。

日本の浮き輪メーカーにプロジェクトの概要を説明し、面白そうだ、という社長の了承を得て、計画が実行されることとなった。


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