おいらんセミナー97
「だからこそ、動乱の時にはそんなお人よしボスを助けようとする義侠心に燃えた美しい心の人が輩出するのです」と菜摘は言った。
菜摘が言う。
「そしてトップと言うかボスと呼ばれる人の中には本当に底抜けのお人よしがいて、それを周囲の部下達が支えている図式は随所にあり、それはもういつも世話になって恩義を感じている部下がそれこそ身命を投げ打って、ボスに献身する形も一つの忠義武士道の誉れであり、それも美しい心の所作の顕在化だと私は思うのです」
風俗研究家が反論する。
「そんなのは昭和の平和ぼけした、言わばノスタルジーのボス像であり、今や抜目ない二番手が組織を牛耳る形が主流であり、然るに武士道など片鱗、欠片すら無いではないか?」
菜摘が反論する。
「でも、やはりお人よしボスはいますよね」
風俗研究家が答える。
「それは、はっきりと言えば真正の馬鹿ボスの事を指し示しているならば、そんな愚かなボスはいつの時代にもいるものじゃろう。違うかのう?」
菜摘がしきりに頷き答える。
「だからこそ、動乱の時にはそんなお人よしボスを助けようとする義侠心に燃えた美しい心の人が輩出するのです」