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おいらんセミナー94
「負け犬だからこそ、その死を覚悟した潔い心は美しく気高くなるのではありませんか。私はそう思いますが」と菜摘は言った。
菜摘が反論する。
「人間は物事を成した後反省する生き物です。ですからどんなに醜い政争の後でも、その反省に則り、そこには美しい心の息吹が芽吹くと私は思うのですが、如何なるものでしょうか」
七瀬がけたたましく嘲笑い喚いた。
「反省、後悔や反省なんざ、負けた者の論理さ。負けたものは負け組として富や財産、名誉を剥奪され、あの世に立ち去る運命よ。それだけの問題じゃない。それの何処が美しい心の息吹なのさ。ちゃんちゃらおかしいわ」
菜摘が優しい口調で言った。
「負け組だからこそ、そして猛省後悔の本に人の痛みを知り、奢り高ぶりが失せ、その死を覚悟した潔い心は美しく気高くなるのではありませんか。私はそう思いますが」
七瀬が高笑いしてから言った。
「そんなのは負け犬の遠吠えさ。ちゃんちゃらおかしいわ。阿婆擦れが!」