おいらんセミナー92
「いえ、そんな事は断じてありません。私は全身全霊を以ってその博愛精神美しい心の広がりを感じ取りたいだけなのです。それしかありません」と菜摘は言った。
風俗研究家がしたり顔をしてから言った。
「そして偉人と呼ばれる人間は、その脚光を浴び伝説の偉人と呼ばれるが故にごく少数派に絞り込まれ、それが証明をなし、故に偉人達の多数派への移行は絶対に無いわけじゃ。じゃから心の美しさの広がりも光りを浴びていないが故に、無いものであり、目の当たりには出来ない道理となるわけじゃ」
菜摘が反論する。
「いえ、そんな事は断じてありません。私は全身全霊を以ってその博愛精神美しい心の広がりを感じ取りたいだけなのです。それしかありません」
七瀬が哄笑し言って退ける。
「だからそんなボランティア自己満足的博愛精神はアングラの範疇であり、けして日の目は見ないと先生はおしゃっているんだよ。あんたそんなのも分からないあほなのか、阿婆擦れさんよ!」
菜摘が反論を重ねる。
「アングラでもいいのです。動乱の時に於いて私はそれを全身全霊、五感をフルに動員して感じていたいのです。それしかありません」