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おいらんセミナー89
「いえ、それでも私はその中に必ず善と言うか正義を貫く人がいると信じたいのです」と菜摘が言った。
七瀬がせせら笑い喚いた。
「悪が悪を滅ぼしても、それは悪でしかないじゃないか、分かって物を言っているのかよ、阿婆擦れが!」
菜摘が冷静な面持ちで答える。
「例えばの話しを申し上げた次第です。一国民として北という悪を滅ぼすのは愛国心に燃えた我が国の善というか、正義ある人であると私は信じたいわけです…」
七瀬が再度せせら笑い言った。
「所詮どんなに正義の名の本に大手術、大粛正が成されようとも、最後に残るのは悪の華でしかないならば、それは北と同義、悪そのものであり、粛正の意味すら無いじゃないか!」
間を置いてから菜摘が答える。
「いえ、それでも私はその中に必ず善と言うか正義を貫く人がいると信じたいのです」
七瀬が嘲笑い再度喚いた。
「何が正義の人だ。ちゃんちゃらおかしいわ!」