おいらんセミナー43
「皆、ペシミスト的発想からまるで逃避するように、古き良き時代の共同幻想的価値観、例えば偏差値教育の絶対性や階級社会の齎すエリート至上主義等を盲目的に共有し、疑問視もせず、それを明日へのエネルギー源、バネとなし生活力にしている姿は、これ哀しくも切なくなるようで、その盲目的な姿を見て私は胸が痛くなるわけです。実際問題」と菜摘は言った。
ホスト亭主がしみじみと言う。
「話は変わりますが、自分は賃貸マンションに住んでいて、マイホーム願望は皆無、無いわけですよ。つまりあらゆる自然災害に依る淘汰で、これからはマイホームを持つ事自体が色褪せた幻想としての夢であり、何かこの平和ぼけした世の中が半永久的に続くだろうとする共同幻想の中での不動産購入やマイホーム構築など、正に来たるべき時代を推察する想像力と思考能力を疑われ、小馬鹿にされているようで、逆に虫酸が走り、マイホーム願望など絶対に持たないようにしているわけです。まあでも、言ってしまえば、そんなペシミスト的発想を自分は実際問題しているのにも関わらず、子供は作ったわけで、これは大いなる矛盾なのですが、こんな発想考え方をしているわけです」
菜摘が頷き答える。
「皆、ペシミスト的発想からまるで逃避するように、古き良き時代の共同幻想的価値観、例えば偏差値教育の絶対性や階級社会の齎すエリート至上主義等を盲目的に共有し、疑問視もせず、それを明日へのエネルギー源、バネとなし生活力にしている姿は、これ哀しくも切なくなるようで、その盲目的な姿を見て私は胸が痛くなるわけです。実際問題」
ホスト亭主が言う。
「そうですね。そんな前時代的価値観の狭間に在って、皆、仕掛けられた階級闘争に疲弊し、北や官僚に無尽蔵に搾取されているのに、健気に真面目に盲目的に生きて行こうとする姿は、正に涙ぐましいですよね…」