おいらんセミナー25
「彼等は向かうところ敵無しの無敵状態ですから、そこに奢り高ぶりが顕れ、警戒心が欠如しているのです、だから用心深さは無く、その辺りに勝算があると私は計算しているのですが」と菜摘が言った。
ホスト亭主が尋ねる。
「お偉方は上手く罠に掛かりますかね?」
菜摘がコーヒーカップの皿に置いてあるスプーンを持ち上げ、コーヒーをそぞろ掻き回してから、おもむろに答える。
「彼等は向かうところ敵無しの無敵状態ですから、そこに奢り高ぶりが顕著に顕れ、警戒心が欠如しているのです、だからあるべき用心深さは無く、その辺りに勝算があると私は計算しているのですが」
「奢れる者は久からずですか?」
菜摘が頷き答える。
「そうですね」
ホスト亭主が気持ちを引き締めるように一度唇を固く結んでから言った。
「あの風俗研究家は、官僚機構にも沢山仲間がいると思うのですよ。だから用心しないとお偉方につつぬけになってしまいますからね」
菜摘が愛おしむようにコーヒーを啜り答える。
「だからこそ、この論理が可能性論の域を出ないように演出しているのですから、その微妙なニュアンスを崩してはならないと私は思います」
「そうですね」