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おいらんセミナー124
「全て計算づく、勝算が無ければ闘いは挑まないわけじゃ。菜摘」と水沢会長はいみじくも言った。
ボディーガードに厳重に護られた水沢会長と菜摘が接触情報を交換する。
菜摘がコーヒーを一口啜るように飲んでから水沢会長に尋ねる。
「何故裏組織同士の抗争に発展したのですか、会長。裏組織にしてみれば巨大なる利権を失い兼ねない抗争事件ですよね?」
水沢会長が答える。
「表面上は所謂裏組織同士の利権を巡る縄張り争いの様相を呈して物々しいが、実はわしの友人の政府高官対黒幕たる政府高官の闘いになっておるわけじゃ。この闘いは本当に苛烈激烈で、水面下では数知れない者達の死体の山が出来ており、正に粛清淘汰合戦の様相を呈しているわけじゃ」
菜摘が尋ねる。
「勝算はあるのですか、水沢会長?」
水沢会長が息をつき眼を細めてから答える。
「全て計算づく、勝算が無ければ闘いは挑まないわけじゃ。菜摘」