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おいらんセミナー99

「随所に散りばめられた優しさや思いやり人助けは、可憐だけれども小さな花が咲くようにひっそりと目立たず咲くわけです。それは誰の目にも止まらない路傍の草花のようであり、物静かな分だけ目立たず、まるで無いもののように見過ごされてしまうのですが、その佇まいは、その可憐さ故に燦然と情愛を以って普遍的に輝く分確かな存在感を私に齎すのです。ですからこんな荒み切った現代社会にも、心の美は確かにあるのです」と菜摘は言った。

菜摘が物静かな語り口調で反論する。





「私は希望的観測など一切申してはおりません」





七瀬が激しく詰問する。





「それじゃ、その論拠は何さ。はっきりと言ってみてよ、阿婆擦れが!」




菜摘が穏やかなる口調を崩さずに言った。





「随所に散りばめられた優しさや思いやり人助けは、可憐だけれども小さな花が咲くようにひっそりと咲くわけです。それは誰の目にも止まらない路傍の草花のようであり、物静かな分だけ目立たず、まるで無いもののように見過ごされてしまうのですが、その佇まいは、その可憐さ故に燦然と情愛を以って普遍的に輝く分確かな存在感を私に齎すのです。ですからこんな荒み切った現代社会にも、心の美は確かにあるのです」




風俗研究家が訝り口を差し挟む。





「しかし目立たず、それが無いものと認識されれば、それは無きものに等しく、そしてその例えを論えば、路傍の草花は無視されるが、その存在は確かにあるが、心の美は言わば観念、形而上のものならば、それは認識する事能わず、無としての概念に過ぎないではないか?」





菜摘が答える。





「いえ、ひっそりとした概念は情熱のように五感に訴えて来る分、確かにあるのです」

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