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あしたのゆめ  作者: 福永 護
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あしたのゆめ

「な、なんだこれ…」


 陽介が拳に本を収めると、世界は光に包まれた。クロウリーの言葉だけでなく、その光は世界のすべてを包み込んだ。




















―― 一日目


 真っ暗だった。本を握りこんだ瞬間、とてつもない頭痛に襲われたまでの記憶はあるが、彼は暗闇の中に居た。光一つ届かない闇が、途方もなく続いていた。

「光を…」

 すると一筋の光が差し、暗闇の世界に光と闇、昼と夜が生まれた。





























―― 二日目


 光と闇、白黒しか無い世界だった。自分が何処にいるかも分からない。せめて、見上げる事のできる風景が欲しかった。

「空を…」

 すると頭上が青く染まりった。そこまでも遠いがとても近い。昼間は青空が、夜には暗闇の世界が生まれた。


























―― 三日目


 足元が不安定だ。空はあれど、それを見上げるための足場が無いことに気が付かされた。固く、だが優しい足場が欲しかった。

「大地を…」

 すると足元にどこまでも続く大陸が生まれ、空を反射する海が広がり、大地には緑が芽吹いた。





























―― 四日目


 光をもたらすものが欲しかった。それは闇の周りすべてを照らし、光のないモノに光をもたらす存在だ。

「太陽と惑星を…」

 すると青空には太陽が、夜空には満天の星空が広がった。




























―― 五日目


 寂しかった。この世界、空間に自分一人というのがあまりにも耐えられなかった。海により風も雲もあるがそれだけではこの寂しさは埋まることが無かった。

「命を…」

 すると静寂を貫いた大地に鳥のさえずりが、海には躍動する魚達が生まれた。




























―― 六日目


 世界も賑やかになった。だがまだ何かが足りない。自分に変わり、世界を導く存在が必要だ。

「人とその営みを…」

 すると大地を蹴っていた哺乳類が立ち上がり、人間社会を形成した。世界はゆっくりと進化をし始めた。





























―― 七日目


 もうすることがない。世界は自分の手を離れ、自立して歩き始めた。此処数日、とても付かれた。ゆっくりと目を閉じ、再び目覚めるその時までゆっくりと休むことにした。

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