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第5話 学園内の説明

 主人公目線に戻ります。

 俺は今、機嫌の治らないエイダ教官に学校内を案内してもらっている。スリーサイズ教えてって言っただけなのに、こんな不機嫌になるとは……。


 8時半になったら教室に行くそうで、まだ8時にもなっていないので案内してもらっているのだ。最初は荷物を置くための宿舎に行ってきた。

 この学園は生徒と教官共に宿舎があるのだそうで。家に帰るためには学園長の許可が必要と言われた。

 俺には要らないな、許可。牢屋()に戻るの嫌だし。


 宿舎は牢屋と比べ物にならないくらい綺麗だった。流石名門校だ。一瞬どこかの高級ホテルかと思ったぞ。これを造るための金はどこから出ているのか、疑問に思った。


 宿舎の後は運動場と体育館について説明された。運動するための最新の道具があるってことが分かった。魔法であんな道具を作動できるなんて、3年前はなかったよな、あんなの?

 その後は実験室や調理室、工作室、音楽室、秘密の場所へ続く道、などなど。色々な場所を案内してもらった。

 秘密の場所って何なのか、それが気になる。後で見に行ってみよう。




「では最後に職員室に行って、挨拶してから教室に行きましょう」


 足疲れてきたーと思っていたらそう言われて、心の中で『良いタイミングだ!』と叫んだ。



 職員室には40人くらいの教官がいた。若い人が8割ほどか。ブランシュ学園って荒事多いし、若くないと駄目なんだろう。年寄りでも強い奴はいるが、ほんの一握りしかいないからな。

 監獄のじじ……長官のような戦闘系は、強い。


 教官の人達には当たり障りないように挨拶して、気の合いそうな人とそうでない人を判断した。パッと見で嫌な奴ってのは分かる。


 途中で学園長に捕まって、自慢されることになった。何を、って、孫の自慢だよ。

 まさか学園長、結婚していたとは……。別に意外じゃなかったけど。むしろ結婚していなかったら指差して笑ってたけど。

 でもね、学園長。孫自慢からの娘さんと奥さんの自慢まで言わなくて良いと思うんだ。長いから! 長くなるから、話!


 げんなりしていたら、エイダ教官が間に入ってくれた。


「学園長! 何でこの人を教官に推薦したのですか!」


 俺と同じく話に飽きてるのかな、と思ったら違いました。単に俺が採用された理由を知りたかったらしいです。しかも良い意味ではなく悪い意味で!


「変態じゃないですか、この人!」


「失敬な! スリーサイズを聞いただけです!」


「それがセクハラなんですっ。で、学園長、何でですか!」


 セクハラ呼ばわりはひどい……。でも俺も何で俺が採用されたのか聞きたかったし、調度良いか。馬車の中では質問する気分じゃなくて、皮肉言ってたし。

 学園長を見ると、これまで通りにこやかに笑っていた。


「信頼できるからだよ。強さも、考え方も」


 ……え。

 嫌な予感がする。

 ()()()が、俺の過去を知っているかもしれないという、予感が。

 だって、俺の強さや考え方なんて……強さも含めて、俺の過去を知っていないと知ることが出来ないはずなのだから。

 どういうことだ。


「お前は……」


「ほらほら、もう30分になってしまったよ。教室に行きなさい」


 何者だ、と聞こうとしたが、遮られてしまった。仕方がない、後で問い詰めるか。

 去り際、俺は学園長を睨み付けるのを忘れなかった。震え上がられた気がするけど、まぁいいや。



 急かしてくるエイダ教官をからかいながら、勇者候補がいるという教室へ歩いていく。

 だが俺は、教室に入る前にとても重要なことに気付いた。生物にとっては、とぉーっても重要なことだ。


 教室のドアの前で立ち止まっていると、エイダ教官が小突いてきた。


「何やっているのですか。早く入ってください。怖じ気づいたのですか」


「いえ、違います。たった今生物として気付いたことがあるんですよ」


「……はぁ」


 それが何だ、と言いたそうなエイダ教官に俺は一言告げた。


「トイレ行きたい」


「……」


「そういうわけで、行ってきます。なぁに、そこにあるって見たので、すぐ戻ってきますよ!」


「……もうやだ」


 ははははっ、と笑いながら廊下を走ってトイレに駆け出すと後ろからエイダ教官の呟きが聞こえてきた。

 ごめんね~。でもこれが俺なんだ~。これからずっと仕事仲間なんだし、慣れていってね~。

 あ、ずっとじゃないか。魔王が復活したら勇者達は魔王を倒しに行くし、その時は俺は自由だ。

 自由って言っても何したらいいか分からないけどな~。その時にはやりたいことも終わって……いるんだろうか。

 やりたいこと、終わってなかったらそれをやっちゃうか。終わってたら本当に自由なんだけども。


 それにしても学園長、よくあんなの許してくれたな。あんな『条件』を。そんなに俺に教官やってほしいのか。
















 ───『殺したい人がいるんですけど、殺しても何も言わないと約束してくれるなら、教官やってもいいですよ?』


 さて、せっかく外に出られたんだから、復讐の再開でもしますかね。


 お読みいただきありがとうございますm(__)m


 この1話の登場人物

 ノア・アーカイヤ 主人公。黒髪黒目。基本は不真面目。


 エイダ・ギレンラ 美女。髪は水色。瞳は群青色。常識人。


 ゴリアグレ・ブランシュ ブランシュ学園の学園長。主人公の過去を知ってそう……?

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