第89話『永遠』
「お疲れ様ー! 明日も頑張ろうね、隼人くん!」
榊先輩と並んで歩いて校舎を後にする。
文化祭の一日目は何事も無く終了した。
可もなく不可もなく、客足は雪原の想定通り去年よりも数倍は多かった事を除けば本当に何事もない一日目だった。
俺と恋歌との現状が変わることもなく、周りも何一つ変わらずいつも通り。
事情を知っている結菜だけは常に真剣みを帯びた表情で今日一日過ごしていたが、喫茶店の仕事は何一つミスすることなく完璧にこなしていた。
私情を表に一切出さなかったのは流石だったが、内心はきっと俺と同じだったはずだ。
「……不安」
「ん? 隼人くん何か不安なことでもあるの? 良かったら話聞こうか?」
「ああ、いえ、大丈夫です。大したことではありませんから」
「そう? でも何かあったら私を頼ってね、隼人くん。あの夜の――私の心を解放してくれたあの夜のお礼、まだ何も出来ていないからね」
榊先輩は過去に帳という名の弟を失ったせいで一時期俺のことを後輩ではなく、弟として見ていた時があった。
「俺は別にお礼が欲しいから先輩のことを助けたわけじゃないですよ。前にも言ったじゃないですか」
「隼人くんがお礼目的であんな事をするわけない。そんなことは分かりきっているよ?」
榊先輩の純粋な瞳は今の俺には眩しすぎた。
俺は自然と先輩から目を逸らしてしまったが、先輩は口を閉ざすことなく話し続ける。
「でもね、あの夜……私は確かに隼人くんに救われたんだよ。隼人くんがあの時私を救ってくれなかったらきっと、私の心はこの先ずっと囚われたままだったかもしれない。帳のことを永遠に抱え込んで生きていたかもしれないんだよ」
榊先輩はそっと胸に手を当て、あの夜の日を思い出すかのように柔らかい笑みを浮かべた。
「だから今度は私が隼人くんを助ける番なんだよ」
「先輩……」
先輩が今までこんなにも強気で出たことはなかった。
だからだろうか。先輩が俺のことを助けたいという気持ちが音となってこの胸に響く。それはまるで何処までも続く空のように広がり、果のない大地へ踏み出す一歩を与えてくれるような心強さがあった。
「……ありがとうございます、榊先輩」
けれど――。
「――けれど今はまだ一人で何とかしたいんです。榊先輩の手を借りるのは本当に自分一人だけの力で解決出来なくなった時――それじゃダメですか?」
俺の気持ちを正直に話すと、榊先輩は満足気に頷いた。
「私はいつでも隼人くんの力になるよ。あ、でも……夜中は勘弁かな? 私、夜は弱いからすぐに眠くなっちゃうんだよね」
「ダメじゃないですか。でも……頼りにしています。夜乃先輩」
「うん! 先輩にお任せ……って、あれ……? 隼人くん今私のこと……」
「さぁ? 何のことか分かりませんね」
「まだ何も言ってないよ!! お願い! もう一回!! もう一回だけでいいから私のこと名前で呼んで!!」
「何のことか分からないって言ってるじゃないですか。それにほら、みんなも来たみたいですよ」
「うわーん! 隼人くんの意地悪! 鬼! 悪魔!!」
「もう今後一切名前で呼びませんね」
「う、嘘!! 今の嘘だから許して隼人くんー!!」
「――ふふっ。何だか賑やかね。二人きりで一体何を話していたのかしら?」
「聞いてよつもりちゃーん! 隼人くんが酷いんだよー!!」
遅れてやってきた雪原に泣きつく夜乃先輩。
つい先程までの頼もしさは何処に消えてしまったのだろうか。今の先輩は新しいおもちゃを買ってもらえない子どもが駄々こねているようにしか見えなかった。
でもそういった幼い一面もまた、夜乃先輩の『らしさ』だと俺は思っている。
「それで? 浅川は何を言って夜乃会長を苛めているのかしら?」
「苛めているなんて人聞きの悪いことは言わないでくれ。ちょっと話をしていただけだ」
「……夜乃先輩の顔、すごく……紅い。街灯の、光加減とかじゃ……ないね。浅川くん……本当に、何を、言ったの?」
「や、だからマジで何も言ってないって。信じてくれよ」
「……分かった。信じる」
古宮はあっさりと答えると、静かな笑みを浮かべて俺を見つめた。
「……」
古宮と初めて会ったのは高校に入学したばかりの頃だった。
だが、実際は中学生の頃に一度だけ会ったことがある。俺はその事を忘れてしまっていたのだが、古宮はずっと俺のことを覚えていて、小説家になるという夢を追い続けていた。
今の古宮と昔の古宮――。並べてみれば全然違うことがよく分かる。
夏休みの出来事を得て、古宮は変わり、そして成長した。
一人じゃないことの楽しさを知り、胸が苦しくなるほど真っ直ぐな恋を知り、そして――別れを知った。
ひと夏の中で古宮は一生分の成長を遂げ、今こうして笑っている。
「……どうしたの? 浅川くん」
「いや別に。ただ……古宮も変わったと思っただけだ」
「……古宮もね。変われない、人なんて……いない。浅川くんが、教えてくれた、ことだよ」
古宮はチラリと横目で夜乃先輩を見た。
俺が先輩とどんな話をしていたのか大体の察しがついたのだろう。
「……ハルカね、浅川くんには、本当に……感謝してる。あなたの、おかげで、ハルカは、ハルカで……いられる。今のハルカを、作ってくれたのは……浅川くん、だから」
古宮は手を前で組み、ペコリと効果音が鳴りそうな勢いで頭を下げた。
「……だからね、ありがとう……隼人くん」
「……っ」
俺は古宮が頭を上げる前にあさっての方向を向いた。
何となく、顔を上げた時の古宮の表情が予想できたからだ。
「……それは反則なんじゃないか? 遥香」
古宮が顔を上げたであろうタイミングで不意打ちと言わんばかりの仕返しをする。
「……っ。隼人くんも、反則……だよ。もう……あはは」
ぷくぅと頬を膨らませて、そのまま割れたように笑い始める。
「悪いな、遥香。俺は昔からこういう奴だ」
きっと昔の古宮のままじゃ一生見ることができなかっただろう。
この宝石のようにキラキラと輝く最高の笑顔は――。
「へー。隼人もようやく遥香ちゃんのこと名前で呼ぶようになったのか。どうせなら俺のことも名前で呼んでみないか?」
「頃合いだな。これからはそうしてやるよ」
「おお? 半ば期待してなかったのにまさかの切り返しだな。どういう心境の変化だ?」
わざわざ聞いてこなくても、優誠なら見抜いているはずだ。だがそれを敢えて訊ねると言うことは俺の口からはっきりと答えを聞きたいからなのだろう。
「心境の変化か。あったと言えばあったかもしれない。けど無かったようなものかもしれない。一言じゃ説明出来ないが、一つ言えることはある」
「ほお? それは?」
「さっき遥香にも言ったとおりだ。変われない人なんていないんだよ。俺も、優誠も、ここにいるみんなも……変わった。外面的な意味じゃなくて内面的な意味で大きく成長した。これはきっと――」
「――大人になった。そういうでしょ? 隼人」
「ああ、そういう事だ。つもり」
意味ありげにつもりは口元を緩ませると、暗い校舎へと視線を移した。ついさっきまではところどころ教室の灯りが付いていたのだが、今はもう真っ暗で少しだけ寂しい感じがした。
「大人になるのなんてまだまだ先かと思っていたけど……案外そうでもなかったわね。私だって分かる。変わったって。隼人のおかげで変わる事ができたんだって。私も、そして優誠も」
長く、雪の色に染まった髪をサッとかきあげ、柑橘系の甘酸っぱい香りを振りまく。
「折角こういう空気になってる事だし、この際だからはっきりと言わせてもらうわね」
いつになく真剣な眼差しを俺に向けた。
何秒、何十秒、何分――長いようで短い時間。
実際は数秒も経ってないだろう時間見つめあったのち、ゆっくりと頭を下げた。
「――ありがとう、隼人。私たちを救ってくれたこと、本当に感謝してます」
親しき中にも礼儀あり――。
感謝の言葉一つでつもりの気持ちが伝わってくる。
あの事件のおかげで俺たちはもっと友達になれた。心を許しあえ、共に歩むことの出来るかけがえない友達になる事ができた。
「やめろよ、つもりらしくもない。お前はもっと堂々としてないと変だっての。優誠だってそう思うよな?」
「ああ……そうだな。けれど――ありがとう」
「優誠……」
つもりと同じように優誠も頭を下げた。
なるほど。こいつはやっぱり俺が思っていた通りの人間だった。
普段はバカでアホでどうしようもない奴だけど、肝心な時は誰にも負けないほど強い気持ちで挑み、感謝の心を忘れない。
「……なんだろうね。私たちみんな、隼人くんに助けられているんだね。私ね、隼人くんみたいな人と出会えて本当に良かったって思ってる」
「……ハルカも、だよ。隼人……くん。あなたと、出会って……良かった」
二人は笑う。
夜の暗さに負けないほど明るく無邪気に、満開の笑顔の花を咲かせていた。
「遥香、夜乃先輩……俺も二人には助けられた。俺だって二人に負けないほど感謝しているんだ。それを忘れないでくれ」
「……うん」
「了解だよ」
最初が誰だったのか分からない。
もしかしたらみんな同時だったのかもしれない。
「ふふっ、あははははっ」
「はははははっ」
笑うということは素晴らしい。
こんなにも心があたたかな気持ちになれるのだから。
「――楽しそうですね、先輩方。良かったら僕も混ぜてよ」
「あら、彼女のお出ましよ、隼人」
「隼人……ですか。なるほど。そういう事ですか。大体の事情は察したよ。ここはおめでとうって言っておくべきなのかな?」
呼び方が変わっただけで大体の事情を察してくる結菜の洞察力には言葉が出ない。
「さすが結菜ちゃんだな。結菜ちゃんの洞察力と観察力はつもりといい勝負なんじゃないか?」
「優誠先輩だって馬鹿さ加減が並外れてるじゃないですか。僕すごいと思うよ」
「一瞬褒められたと思って喜ぼうとした俺自身が許せない」
「……結菜ちゃん、恋歌ちゃんは……どうしたの?」
この場にいないの恋歌だけだった。
てっきり結菜と一緒に来るもんだと思っていたのだがそうでもなかったらしい。
「十堂さんは遅れてくるそうです。ついでに先に帰っていて欲しいと」
「そうなんだ? じゃあ私たちは帰ろうかな」
「……そう、ですね」
「んじゃまた明日なー。最終日も頑張ろうぜ」
帰りが駅方面の三人が先に帰っていった。
背中が見えなくなるまで見送ると、つもりはぐーっと伸びをする。
「私たちも帰りましょ」
「俺は恋歌を待ってる。まだ遅い時間でもないけど、夜の女の子の一人歩きは危険だからな」
「紳士ですね、隼人。それじゃあ……帰ろうよ、つもり先輩」
「ええ。ダメよ隼人? 送り狼になっちゃ」
「んなことしねーよ。さっさと帰れ」
しっしっと追い払うように二人を帰すと、俺は校門の横の壁に背中を預けた。
コンクリートのひんやりと固い感触が背中越しに伝わってくる。秋も深くなってることもあって若干肌寒く、俺は恋歌が校舎から早く出てくれることを祈った。
「……なんでまだいるんですか、隼人先輩」
「よお。遅かったな」
恋歌が校舎から出てきたのはあれから15分くらい経ったあとだった。
「恋歌を待っていたんだ」
「理由を聞いてもいいですか」
先に帰らなかったことを起こっているわけでもなく、待っていたのが嬉しいといったわけでもなく、ただ淡々と問いかけてくる。
「話したいことがあって、その約束を取り付けたかったんだよ」
「わたしに話したいこと……ですか。奇遇ですね」
「奇遇?」
俺は首を傾げる。
恋歌も俺に何か話したいことがあったという事なのか?
「明日の文化祭の後、二人きりで話があります。とても……大切な話です」
恋歌に告白されてから今に至るまで、こうしてまともに話をする事は無かった。
恋歌が話したい事はもしかしたら、俺と同じ事なのかもしれない。感覚的にも、タイミング的にもそう思った。
「約束ですからね。それでは隼人先輩、また明日です」
「……ああ」
帰り道は同じだった。
けれど俺は恋歌と並んで歩いて帰ることはなかった。
......................................................
「――さぁみんな!! 最終日頑張るよー!!」
夜乃先輩の元気いっぱいの掛け声と共に文化祭の最終日が始まった。
俺らの喫茶店は始まる前から既に列が作られているほどの大人気で、つもりが念のためにと用意しておいた整理券がすべて無くなってしまった。
「つもりちゃんの言ったとおり、おばけ屋敷の部分全自動にしたのは正解かもしれないね。結菜ちゃんと私の技術力に感謝感謝だよ」
「自画自賛してないで五番テーブルに運び行ってください夜乃先輩! ついでに七番テーブルバッシングお願いします!」
「ふぇえ!! 隼人くんの先輩使いが荒いよー!!」
「優誠、オーダー溜まってきてるわよ。まいてまいて」
「分かってる。今高速で焼いてるからすぐにまけるはずだ。……ほい、一番テーブルのいちごムースホットケーキとメロンクリームホットケーキあがり」
教室内は人でごった返していて、注文もバンバン飛んでくるせいでミスが許されるような状況ではない。
細心の注意をしつつ、素早く行動しなければならないのはなかなか精神の削られるものだった。
「――隼人大丈夫ですか? まだしばらくはこの状態が続くと思うよ」
結菜は喫茶店でバイトしていた経験があってか、特に難なく仕事をこなしている。
「流石だな。俺も負けていらねーわ」
「その粋です。人間というのは案外根性と気合いされあれば何でもできるように出来ていますからね」
「だな。それにここで心折れてたら残り時間持たない。終わったら大切な話があるんだからな」
「十堂さんの事ですか。昨日ちゃんと約束取り付けたんだね」
「あっちも俺に話があったらしいんだ。大切な話だと言っていた」
そこで俺はオーダーを取っている恋歌を見る。
相変わらず無表情で無感情。何を考えているのかこれっぽっちも分からない。
「今回はさすがに盗聴する気はありません。なのでゆっくりきっちりと……カタを付けてください」
……話をしてください。ではないんだな。
「分かってる。とりあえず今は仕事に集中し――」
「あのー……すいません。ちょっといいですか?」
話を遮るようにいつの間にか来ていた帽子を被ったお客さんに話しかけられる。
帽子を深く被っているせいで顔が見えず、不審に思ってしまったが、無下にすることはできない。
「はい。どうかしましたか?」
「ここにいるはずの雪原つもりさんに用があるんですけど」
「つもりに? えーっと……あ、今裏から出てきたのがそうですよ」
ちょうど裏で作業をしていたつもりが表に姿を見せる。
「……ありがとうございます」
「……ッ!?」
ぞわっと、何か不吉な予感が背中を駆け抜けた。
声のトーンが異様なまでに下がり、かろうじて見えていた口元が不自然なほど吊り上がる。
そこで俺はようやく気づいた。この少女はつもりにめちゃくちゃにされた少女だということに。
帽子を脱ぎ捨て、ポーチの中から銀色に光るそれを取り出し、雪原に向かって吠える。
「――雪原ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああ!!!!!」
帽子を脱ぎ捨てた少女は握りしめるナイフを構えて一直線に雪原に向かって走る。
突然の出来事に一瞬教室内は静寂に包まれたが、少女がナイフを持っているという事実に気づき、悲鳴が上がる。
「雪原逃げろぉぉぉおおお!!!」
「つもり先輩逃げてくださいッ!!」
「……えっ?」
遅かった。
気づいた時にはもう遅かった。
少女の構えたナイフは真っ直ぐに雪原の胸のあたりに吸い込まれていった――
――はずだった。
「……ゆう、せい……?」
けれど違った。
実際に刺されたのはつもりではなく、咄嗟の判断でつもりを庇った優誠だった。
「……だい、じょうぶか……つもり」
「い、いや……優誠……しっかりして!!」
悲鳴が上がる。
教室内は一瞬のうちに混乱に包まれた。
「人が刺されたぞ!? 誰か教師を呼べ!! 早く!!」
「救急車!! 救急車お願いします!! 人が……胸から血が……!!」
その場にへたり込む人、一目散に逃げる人、誰一人冷静でいられる人間などこの場には存在しなかった。
「――あははははっ!! あははははははははははっ!!!」
血の滴るナイフがカランと床に落ちる。
少女の高らかな笑いが耳を劈き、頭の中が真っ白になっていく。
どうして……どうしてこんなことになった……? 何がいけなかったんだ……?
「ざまぁぁぁぁぁみろぉぉぉぉおおおおお!!!!! ぎゃはははははははっ!!!!」
「アイツだ!! 取り押さえろッ!!」
駆け込んできた教師が少女を取り押さえる。
捕まってもなお、少女はざまあみろ。死ね等の暴言を繰り返しながら笑う。
「……どうして私なんかを庇うのよ、優誠……!!」
「……ばーか。カノジョを、まもるのが……カレシの、役目って……もんだ。けがは、なさそう……だな。つもりが、無事で……よかっ……た」
つもりに支えられていた身体ががくんと崩れる。床にはおびただしい量の血の海が出来上がっていた。
「優誠!? お願い……優誠、目を……目を開けて……!! 優誠!! あああぁぁぁ……!!」
ピクリとも動かない優誠の身体を抱きしめてつもりは泣き叫ぶ。
「……せん……ぱい?」
ガシャーンと食器が落ち、盛大に割れて辺りに破片をばらまく。
音の発信源には呆然と立ち尽くす恋歌の姿があった。
「血が……血が出てます? なん、で? 血が……こんなにも、出てるん、ですか……?」
恋歌は頭を抱える。
顔は真っ青になっていて、瞳は痙攣したように震えて視点が定まらない
「い、いや……血が、血が……血がッ!!」
恋歌の様子がおかしい。
そう気づいた時には事はもう取り返しのつかないところまで来ていた。
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああ!!!!!!」
突然の絶叫――。
これが恋歌のものだと信じる事ができない。
「いや!! いやぁぁぁあぁあぁあああ!! 嫌……嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌……ッ! い、や……」
ふらっと恋歌の身体が倒れる。
「恋歌!?」
俺は散らばったガラスの破片に恋歌が崩れ落ちる前にその華奢な身体を受け止める。
「おい!! 恋歌しっかりしろ!!」
「……」
いくら呼びかけても恋歌は答えない。
真っ白になっていく頭の中、最後に聞こえたのはこちらに近づいてくる救急車のサイレンの音だけだった。
俺たちの日常はこの瞬間、崩壊を迎えた――。
to be continued
心音です。こんばんは。
これでつもり√は終了となり、次の章へと話は移ります。
おそらくこんな展開は誰も想像できなかったのではないでしょうか。
そしてこれまでのお話は長い長いプロローグのようなものでした。
物語の核心へ迫る次回の章。
過去に何が起きたのか――。
恋歌は何者なのか――。
記憶の矛盾とあの日の約束がついに明かされる――。
それでは次のお話でまたお会いしましょう。




