異世界での冒険の始まり 4
次の日――。
俺は寝室に設置した窓から射す朝日の光で目が覚めた。
しかしこの窓から見える風景は映像のようなものなのに、朝日の光が射し込むとは……。
まあそんなこと考えたって仕方がないので、俺は食料となるものを集めにいくための支度を整える。
昨日、天然温泉に浸かりながらステータスを確認したのだが、自身のLVは10に上がっており、剣士のLVは2に上がっていた。
これは特別能力【獲得経験値10倍】と【ジョブ成長率10倍】のおかげだろう。
「さてと、それじゃあ行くとするか」
支度が整ったので、外へ出ると――ゲル状の物体がポヨーン、ポヨーンと身体を揺らしながら地面を這って移動しているのが視界に映り込んだ。
いうまでもないと思うが、スライムである。
「………………」
ここら辺は、スライムが大量に生息している地域か何かなのか?
「というか……昨日より多いような……」
廃村を見渡す限り、スライム、スライム、スライム……。
その数100……いや、150体はいる。
これって……多すぎじゃね?
あんな数を1人で相手にするのは、もう二度とゴメンだと思っていたのに、昨日の今日でこれである。ホントいい加減にして欲しい
「ああっ! クソッ! こっちは腹が減ってるっていうのにっ!!」
俺は悪態を付きながらも昨日と同じように、地形や障害物などを上手く利用して、スライム共を倒していく。
そしてスライム共を倒しながらあることに気付く。
「……やっぱり剣の腕前が上がっているな」
昨日もスライム共と戦いながら感じていたが、剣士のLVが上がったおかげで、剣の扱い方が少し上手くなっているようだ。
しかも現在進行形で剣の腕前が上がっているようで、より速く、より鋭くといった風に身体の動きが徐々に良くなっていくが分かる。
「コレならっ!」
俺はスライム共をひたすら倒し続けた。
ポヨーン、ポヨーン。
倒して続け……。
ポヨーン、ポヨーン。
倒し……。
ポヨーン、ポヨーン。
「だぁぁああっ! スライム共の数が多すぎるっ!!」
いくら自身のLVや剣士のLVが上がって強くなろうが、数が多いものは多い!
それでも頑張ってスライム共を倒し続けて――ようやく最後の1体となった。
「――これで……ラストオオォォーーーーーーーーーーッ!!」
俺はその最後の1体のスライムに対して、心からの叫び声を上げながら、渾身の力で【エクスカリバー】を振り下ろし真っ二つにした。
スライムは光の粒子となって消えて、ドロップアイテムを落とす。
「はあ……はあ……はあ……」
スライム……真に恐ろしいのはその数ではないだろうか? 軽くトラウマになりそうだ。
俺はスライム共が落としたドロップアイテムを拾い集める。
今日もその左手の親指には【レアドロップの指輪】を装備しているので、落ちているドロップアイテムは全て【スライムの核】だ。
そして合計81個の【スライムの核】を拾ったが、それを集めるだけでも一苦労だった。
LVはというと、俺自身のLVは19に上がり、剣士のLVは5に上がっていた。
昨日は俺自身のLVが一気に9も上がったが、今回はスライムの数が3倍だったにも関わらずLVが同じ数しか上がっていない。
これは、いくら【獲得経験値10倍】があろうと、スライムのLVは今回も一桁台だったし、LVが上がれば次のLVになるために必要な経験値も増えるからだと考えられる。
それでもLVが上がるペースは、普通よりもかなり速いのだろう。
ただ――剣士のLVが5というのは少し気になるところだ。
剣士のLVが1だった時なんかよりも、剣の腕前が上達しているのはスライム共との戦闘で実感している。
だけど【ジョブ成長率10倍】があるにも関わらず、この成長率は少し遅いのではないだろうか?
まあしかし、ここまでの剣の腕前になるのにはそれなりに時間は掛かるだろうから、僅か2日でそこまで上達したのを考えると、やはり成長率は速いのかもしれない。
LVのことを考えるのはここまでにして――。
「――さてと、だいぶ時間をロスしたけど、気を取り直して食糧となるものを集めにいくか」
しかし食糧となるものを集めるにしても、どういったものを集めようか……。
やはりここは、木の実が無難かな? ここは山地なので、多くの木の実が生っているだろう。
特異能力【神の眼】なら、それが食べられるものか食べられないものかくらいは分かるハズだ。
後は……肉かな? 木の実と同じく山地なので野生の鳥獣は多く生息しているだろう。まあ解体作業が面倒くさそうではあるけど……。
魚は……川まで行けば獲れるだろうけど、道具がないし、その場で仕掛けを作って魚を獲るにしても時間が掛かるので止めておこう。
山菜は……何か苦そうだからパス。
そんな訳で、食糧となるものは木の実を中心的に収集を行い、可能ならば野生の鳥獣を狩るということにした。
「それにしても、俺がサバイバル生活のようなことををするはめになるとは……」
俺はそんなことを呟きながら、食糧の探索を開始する。
そして数分後――。
「おっ! 早速、何か発見!」
発見したのは高さ3、4mほどの木……いや、草本だ。
その草本の果軸には複数の果房がついており、各果房ごとに10~20本の果指が生っている。果指の色は黄色に近い黄緑色で長さは20cmほどだ。
その色と形状から、最初はスーパーなどで一般的に売られている品種のバナナかと思ったのだが、【神の眼】で見てみると――。
【キャベンディッシュ・メロン】
分類:食料品
種別:果物
ランク:E
詳細:ムンドゥス・パンタシアでは一般的なメロン。
その甘みから、デザートとして大変好まれている。
そう表示されていた。
……メロン? えっ!? これが!?
いやいやいやいや、これはどう見てもバナナでしょっ!
俺は本当にメロンなのかを確かめるため、房から1本取り、その皮を剥いてみると、バナナのように簡単に皮が剥けた。また果肉色は青肉種のようだ。
匂いを嗅いでみると、その甘い香りはメロンのものだった。
「いやいや、香りはメロンでも、実際に食べてみないと分からないし……」
俺は恐る恐るといった感じで一口食べる。
噛んだ瞬間にジュワッと果汁が溢れ出し、極上の甘みが口の中いっぱいに広がった。
その味と食感は――。
「……メロンだ」
マジでメロンだった……。しかもめっちゃ甘くて美味いし、種がないのですごく食べ易かったので、すぐに完食してしまった。
地球にはバナナ型になるメロンが存在していることは知っているけど、それはあくまでも“バナナのような形状”になるだけなのだ。
だが目の前のメロンは、バナナのように高さ数mの草本になり、果軸に複数の果房がつき、各果房に数十本の果指が生っている。
これは植物学的に見てもあり得ないことだ。
まあしかし、この【キャベンディッシュ・メロン】というメロンが、何故このような成長をするかなんて考えても仕方ないだろう。
ここは異世界なんだから、メロンの生態が地球と違っていても、何ら不思議ではないのかもしれない。
「ま、美味けりゃ何でも良いじゃないか」
そう結論付けると、【キャベンディッシュ・メロン】を収穫し始めた。
この【キャベンディッシュ・メロン】の草本はこの1本だけではなく周囲に30本ほどある。各草体に生っている果指は200本ほどだ。
10~20本の果指が付いた果房を果軸からもぎ取り、【魔法の袋】の中へと入れるという作業をひたすら続け、その全てを収穫した。
俺が向かおうとしている『ミュルクト』という街までは2、3日で着くと思うので、全て収穫する必要なんてないんだけど、甘くてめっちゃ甘くて美味しいから、つい取ってしまったのだ。
まあ【魔法の袋】の中に入れてしまえば、腐ることはないので、食べたくなったら取り出すようにすれば良いだろう。
でも『ミュルクト』に着くまでの間、ずっと【キャベンディッシュ・メロン】のみ、というのは流石に遠慮したいので、俺はこれ以外にも食糧となるものを探すために探索を続けることにした。
異世界での冒険の始まり 4の終了時点の主人公のステータスです。
アインナハト・シュヴァルツベルク LV.19
種族:夢魔族
年齢:18歳
性別:男性(童貞)
ジョブ:剣士 LV.5
身分:自由民
パラメーター:生命力 17940/17940(5980×3)
魔力 17340/17340(5780×3)
攻撃力 3168(556×3+1500)
防御力 1685(543×3+37+19)
膂力 1647(549×3)
耐久力 1638(546×3)
対魔力 1650(550×3)
素早さ 1656(552×3)
スタミナ 1644(548×3
運 1554(518×3)
能力:種族別能力
【精力変換】
固有能力
【精力絶倫】
特異能力
【神の眼】【各種メニュー操作】【転移ゲート作製】
特別能力
【言語自動翻訳】【嘘看破】【覇気】【オーバードライブ】
【状態異常無効】【未来予測線】【ラーニング】【幸運】
【獲得経験値10倍】【ジョブ成長率10倍】
技能:―
装備:【エクスカリバー】【竜革のハーフアーマー】【竜革のショートブーツ】




