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プロローグ

現在、連載中の作品の執筆が行き詰っているので、気分転換に執筆してみた作品です。

「これは要る。これは……要らない。これは――」



 俺の名前は黒山一夜(くろやまいちや)。26歳の独身である。

 今、俺が何をしているのかというと、自分の部屋の大掃除をしているところだ。

 別に年末の大掃除という訳ではない。と言うか、ここ数年、自分の部屋の大掃除なんて面倒だからしていない。

 なら何故、自分の部屋の大掃除なんてしているのかというと、特にこれといった理由は無く、ただ何となく部屋の大掃除をしているのである。



「これは……要らない。これも要らない――」

 


 要らないモノは容赦なくゴミ袋の中に捨てていく。



「――ん? これは……」



 机の引き出しを整理していると、ケースに入った一枚のDVD-ROMが出てきた。

 レーベル面は白色で、何も印刷されていない。

 気になったので、俺は中身を確認するために机の上のノートパソコンを起動し、DVDドライブにそれを挿入する。

 自動的に再生されると、パソコンの画面にウィンドウが開いた。



 幻想世界‐ムンドゥス・パンタシア‐



 と、ウィンドウの中央部分にタイトルが表示され、幻想的なBGMが流れ始める。

 タイトルの下には、GAME STARTとあるので、どうやらこのDVD-ROMの中身はPCゲームだったようだ。

 しかし……こんなPCゲーム持っていたっけ?

 そんな疑問が浮かぶが、何だかこのPCゲームが面白そうなので、マウスを動かしてカーソルをGAME STARTのところまでもっていき、そしてクリックする。

 画面が切り替わり――。



『次の項目の設定を行ってください』



 という文章と、その下に【名前】、【種族】、【性別】、【年齢】、【ジョブ】の項目が上から順に表示された。

 どうやらキャラメイクを行って、プレイヤーキャラクターを作成するようだ。

 それぞれの項目の右には空欄部があり、その中の【種族】、【性別】、

【ジョブ】の空欄部にはプルダウンメニューのボタンがあるので、そこから

メニューを開いて選択するようだ。



 まずは名前か。うーん……何にしようかな。

 俺は【名前】の項目の空欄部にカーソルをもっていきクリックする。

 するとウィンドウの下部に――。



『名前に姓を設定する時は、名―性の順番にし、その間に“・”を付けてください』



 という説明が表示される。

 俺はその説明に従い、空欄部に『アインナハト・シュヴァルツベルク』という名前を入力した。

 これは俺の名前である黒山一夜をドイツ語にしたものだ。

 一はアイン、夜はナハト、黒はシュヴァルツ、山はベルクといった感じである。

 何とも厨二的な名前だと自分でも思うが、まあこれで良いだろう。



 次に種族を決めるため、プルダウンメニューのボタンをクリックすると、

メニューが開き12の種族名が表示される。

 種族は次の通りだ。



人間族――――ムンドゥス・パンタシアでは最も多い種族で、その人口は世界人口

       の約4割を占める。

       身体能力と魔力は他の種族と比べて低いほうだが、そのかわりに

       学習能力が高く、LVの成長速度も速い。

       寿命は150~200歳。


獣人族――――人族の次に多く、世界人口の約3割を占める種族。

       犬型、猫型など身体の一部に元となる獣の特徴とその獣特有の能力

       を持ち、その人種は50種以上にも及ぶ。

       高い身体能力を誇るが魔力は魚人族、鳥人族と並んで最低クラス。

       寿命は300~400歳。

       

ドワーフ族――人間族よりも小柄な種族。

       身長は大人でも130~150cm程にしかならないが、そのかわ

       りに膂力は他の種族と比べて最高クラスで身体能力と魔力も高い。

       武具などの作製技術は、他の種族の追随を許さない。

       寿命は400~600歳。


鬼人族――――額から生えている角が特徴の種族。

       身体の一部が欠損しても再生させることが出来る能力を持つ。

       高い身体能力と魔力を持つが、学習能力は他の種族と比べると低く

       LVの成長速度も遅い。

       寿命は400~600歳。

       

魚人族――――身体の一部分にエラやヒレといった魚の特徴を持った種族。

       水中ではエラ呼吸、陸上では肺呼吸といった風に水陸両方での生活

       が可能となっている。

       高い身体能力を誇るが魔力は獣人族、鳥人族と並んで最低クラス。

       寿命は300~400歳。


鳥人族――――身体の一部分に羽毛や羽根といった鳥の特徴を持った種族。

       腕は肘から下が翼になっておりそれによって飛行することが可能。

       その飛行速度は他の飛行可能な種族を圧倒する。

       高い身体能力を誇るが魔力は獣人族、魚人族と並んで最低クラス。

       寿命は300~400歳。


エルフ族―――尖った長耳が特徴の種族。

       身体能力は全種族の中で最も劣るがそのかわり魔力は最高クラス。

       精霊と交信する能力を持ち、その力を借りることで通常の魔法とは

       異なる精霊魔法を使うことが出来る。

       寿命は800~1000歳。


妖精族――――希少種族で、半透明で発光している虫羽を背中に持ち、それにより

       飛行が可能。

       身体能力は人間族より劣るが、かなり高い魔力を持つ。

       身長は人間族と変わらないが、身体を20cmまで小さく出来る。

       寿命は600~800歳。


人魚族――――希少種族で、魚の下半身とエラのような耳が特徴。

       魚人族と同じように水陸両方での生活が可能であるが、陸上で生活

       をする時は、下半身を人間族の脚に変化させることが可能。

       身体能力は人族とさほど変わらないが、高い魔力を持つ。

       寿命は400~600歳。


天翼族――――希少種族で、白く美しい翼を背中に持ち、それにより飛行が可能。

       レベルが一定以上成長するとその翼の数が増えていき、最終的には

       翼の数が6対12枚になる。

       身体能力と魔力はかなり高いが、LVの成長速度は遅い。

       寿命は1200~1400歳。

       

竜血族――――絶滅危惧種族で、外見は人間族と変わらないが、竜の力を扱うこと

       が出来る。

       身体能力と魔力は全種族の中でも最高クラスであるが、LVの

       成長速度は最も遅い。

       寿命は1000~1200歳。

       


夢魔族――――絶滅危惧種族で、頭に山羊のような角が生えているのが特徴。

       高い身体能力と魔力を誇り、異性と交わるほど力が増す。

       どの種族とも自由に子供を作ることが出来るが、90%以上の確率

       で相手種族の子供が生まれる。

       寿命は1000~1200歳。



 何か……人間族の寿命がおかしくないか? 150~200歳って!?

 夢魔族の説明に『異性と交わるほど力が増す』ってあるけど、これってそういうゲームなの?

 と、ツッコミ所があるが、このゲームの“設定”なのだと納得しておく。



 12の種族の中から1つ選ぶわけだが、俺は2つの種族で悩んでいる。

 それは竜血族と夢魔族だ。

 普段の俺なら、間違いなく最強だと思われる竜血族を即決で選ぶ。

 しかし、夢魔族の『異性と交わるほど力が増す』という説明がすごく気になって仕方がない。

 悩みに悩んだ末――俺は夢魔族を選んだ。

 まあ、気に入らなければ最初からやり直しすれば良いしな。

 俺は、この時のこのような軽い気持ちでいた。まさかこの後、あんなことが起こるとは……。



 次は性別である。

 とはいっても、“男性”と“女性”しかプルダウンメニューに無かったので、すぐにメニューから男性を選んだ。

 夢魔族の男性――つまりインキュバスということになるのだろう。

 その次は年齢であるが、空欄部に18と入力した。

 俺の年齢は26歳であるが、まあこのくらいは……。



 そして最後はジョブだ。

 ウィンドウの下部に表示されたジョブの説明によると――。



『これは初期のジョブであり、後から別のジョブを獲得することは可能です。

 また、現在メニューに無いジョブもあり、それは各種族限定のジョブや特殊な条件を満たさなければ獲得出来ないジョブです』



 とのことだ。

 ジョブのプルダウンメニューを開くと、『剣士』や『魔法使い』、『武闘家』といった一般的なジョブから、『商人』、『鑑定士』といった変わったジョブまであり、その数は50種類以上ある。

 俺はメニューの中から『剣士』を選んだ。

 後から別のジョブを獲得できるなら、今、どれを選んでも同じだろうと考えたからだ。

 そして全ての項目が埋まると、ウィンドウの下部に――。



『この設定でよろしいですか? YES/NO』



 という文章が表示されたので、俺はカーソルをYESにもっていき、そしてクリックした。



『今ならまだやり直しが出来ますが、本当によろしいですか? YES/NO』



 俺はもう一度YESをクリックする。



『もう戻って来れませんが本当によろしいですか? YES/NO』



 ああ、もうしつこい!

 あまりにしつこいので、まともに説明を読まず、乱暴にYESをクリックした。

 そして、クリックしてから気が付いた。

 ん? 待て、もう戻って来れないてどういう意味だ?

 そう思った瞬間、パソコンの画面から強烈な光が放たれる。

 ……そこで俺の記憶は途切れた。

 まるでポチッとテレビの電源を消した時のように一瞬で……。











 ――対象の異次元世界間転移を確認。

 異次元境界通過まであと、3、2、1――――異次元境界通過に成功。

 異次元境界通過時に分解された肉体を、生命情報記憶体の肉体情報と対象が設定した情報を元に、肉体の再構築開始――――再構築に成功。

 対象に特異能力エクストラ・アビリティ【神の眼】の付与を開始――付与完了。

 続いて特異能力エクストラ・アビリティ【各種メニュー操作】の付与を開始――付与完了。

 さらに特異能力エクストラ・アビリティ【転移ゲート作製】の付与を開始――付与完了。

 対象の前の次元世界における全財産の算出開始――――算出完了。

 算出額をムンドゥス・パンタシアの通貨“オル”にレート換算を開始――――レート換算完了。

 換算額5432万3654オルを所持金として贈呈――贈呈完了。

 BP(ボーナスポイント)を1万BP贈呈――贈呈完了。

 魔道具(マジックアイテム)【魔法の袋】を贈呈――贈呈完了。

 対象が選択したジョブに対する初期装備を贈呈――贈呈完了。

 衣類一式を贈呈――贈呈完了。

 所持金、初期装備、衣類一式を【魔法の袋】の中へ収納――収納完了。

 ――全行程完了。

 対象の覚醒を開始――――。

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