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第22話:難しい話は抜きだ。

遅れまして申し訳ありません。


~三度目の正直~


 はたして今度の転生先はまともでした。

 問題なく十歳まで成長できましたよ。

 変なフラグも、不運な状況もありません。

 ごくごく普通の中流貴族の三男坊ですな。


 なぜ、貴族を選んだこというと、まだ一般市民には勉学が行渡ってないからですな。

 知識チートをすればいいじゃないと思われますが、不自然に知識を持っていますとそれだけでヤバイのは体験済みです。

 

 ええ、必要以上に目立ちたくはないね。

 前回、前々回は孤児を集めたり、窓際族みたいなのを引っ張ってきて、組織しましたから結構大変でした。

 こちとら、その世界の常識も子供レベルでしかわからんのに、社会から孤立するという常識なんぞ糞喰らえ的な状態でしたから。

 様々な点で怪しまれまくりました。

 相手が都合よく解釈してくれればそれでいいんですが、世の中そうも行かないんだよね。

 悪魔の化身とか、邪悪な何か的なものだと思われたら、それだけで内部分裂の危機なんだよなぁ。

 三秘術会が分裂しないで済んだのは、ドラゴンのおかげといっても過言ではない。

 鶴ならぬドラゴンの一声で、皆何とか納まってくれるからね。


 まあ、そんなわけで今度はもっと楽に行きたいね。

 誰が作ったかわかる組織じゃないと、後世の人間に怪しまれるからね。

 正体不明の人物がドラゴンを従えて組織作っただと、どう考えても人外か何かと思われるね。間違いない。

 既に怪しまれているし。

 そんなわけで、身分のはっきりした人物が必要なのであったりする。

 まあ、身の上話は置いといてこの世界の説明に行きましょう。


 さて、この世界、ごくごく普通のファンタジーっぽいんですが、武器がちょいと変わってる。

 一見ただの刃の無い剣の柄なんだけど、魔力を光の刃に変換して戦う武器。

 そうビームサーベルなのだ。

 他にもレーザーガンなんかがある、動力は全部魔力だけど。

 この世界、魔力が内に篭る性質が強く出てて、こうゆう道具を使用したり肉体強化をするのがポピュラーです。

 そんな世界でも儀礼魔術は使い勝手が変わりませがね。便利なものです。


 そして、世界情勢ですが、戦乱がひどいです。

 第六世界もそうでしたが、第七世界はもっとひどい。

 なんというか、天使のボケどもが随分とやらかしてくれたおかげで、男女間で争いが起きているという摩訶不思議状況です。

 まあ、連合王国と帝国の二つに分かれてるんですが、連合が女尊男卑と帝国が男尊女卑で分かれています。

 勇者召喚も積極的にやってまして、神が男女の諍いを煽ったということになってますが、それを両陣営都合のいいように解釈してました。

 まあ、お互いにお互いを屈服させようと、血で血を洗う戦争を長い間やってます。

 それで今はお互いの国力がなくなってきて、連合が解体寸前、帝国は内乱勃発、それでも止めないお互いの戦争。

 なお、戦火は俺の住んでるところまでは来ません。すげぇ片田舎です。

 鉱山持ってるから裕福なんですよ。

 うん、バイト天使はちゃんと仕事してるな。


 なお、俺は帝国側です。

 お勉強に剣のお稽古に色々忙しい。

 やっぱビームサーベルは素晴らしい。中二病アイテムだわ。

 光剣っていうんですがね。

 扱いに癖があって大変ですが、使いこなせると強いです。

 力場でつばぜり合いも出来るし、逆に素通りさせることも出来る。

 変幻自在の武器なのです。


 そんなわけで三度目にして、予定通りにいきそうです。


~下級天使の悪戯~


 世界の狭間で下級天使が一人、つぶやいている。

「う~ん。何にも出来ないや。どうしてだろう?」


 そう、今まで世界に干渉できていたのが、急に出来なくなったのだ。

 実際は世界が修復されたので、通常の状態に戻っただけなのだが、幼い下級天使にとってはあずかり知らぬことだった。

 

 つまらなくなったので帰ろうにも、創造神との契約が切れていて戻ることが出来なかった。

 自分の力が、ほとんどなくなっていることに気づいたときには、世界の狭間でうろつくくらいしか出来なくなっていた。


「どうしよう?」

 下級天使は不安になった。

 魂との契約の手伝いをする仕事、下級天使的には魂を飛ばす仕事も出来ない。

 魂も契約書も無いからだ。

 いや、契約書なら一枚あった。

 先輩の下級天使が、バイト天使からすりとった物が一枚。

 彼が先輩にねだってもらった、正規の契約書だ。

 創造神のものではない、ここの新米の神のものだった。

 しかも自分用に用意していたものなので、ポイントさえあればどんな契約でも出来るものだった。


「だれもいない~! これだけあっても面白くない~」


 そんな中、一つの魂が漂ってきた。

 それは第一世界の混乱の余波で、他世界から迷い込んでしまった人間の魂だった。


「あっ!! 魂見っけ!! やった!」


 下級天使は喜び勇んで駆け寄った。

 魂に触れると、それに呼びかけた。


「こんにちは!! 僕は天使だよ!!」

「きゃ!! ここどこ? あたしどうなったの?」

「うんとね、君は死んじゃったんだよ。だから生まれ変わらせてあげる!!」

「えっ?どうゆうこと? 死んだ?」

 いきなりのことに混乱する魂。


「だから、君は死んだの!! また生まれ変わるの!!」

「いや、だから死んだって……アナタは?」

「もう! 僕は天使だよ!!」

 問答ともいえぬ、問答が繰り返し行われた。

 しかし、その繰り返しのおかげか魂は混乱から徐々に開放されていった。

 自分のことや、自分の最後を思い出していく。


「そうか、私死んじゃったのか……それで転生するのね?」

「うん、そうだよ!! この契約書で転生するの!! 何になりたいか決めてね!!」

「う~ん。どんなのでもいいの?」

「もちろん!!」

 まともに契約をしたことさえ無い彼に、諸所の手続きも義務もわかるわけがなかった。


「そ、それじゃあ。記憶の持ち越しとか出来る?」

「うん、できるよ!!」

 そういって契約書に念を込めて手続きをする。

 目の前の魂の転生ポイントでは圧倒的に足りなかったが、その契約書が可能にした。

 神を転生させる契約書は、神の転生ポイントを使用するからだ。

 そんなことを知らない魂はドンドン希望を連ねていく。


「そ、それじゃあ。お姫様になって、魔法もすっごいのが使いたい!!」

「うんうん、それでそれで?」

「それからそれから……それだけでいいかも。その二つで割りと何でも出来そう」

「そう? ほんとにそれでいいの?」

「うん、それでお願い」


 話がまとまり、契約書が完成したところで、不意に足音が聞こえた。


 ガッション! ガッション! ガッション!


「ひい!! アイツだ! アイツが来た!! は、早く契約して!!」

「な、なにが来たの?」

「皆を殺したロボットだよ!!」

「え? あなた一人残していけないわよ!!」

 何も知らない魂は下級天使に愛着がわいていた。

 だが、それをさえぎるように下級天使は言った。

「僕一人なら逃げられるから、君は早く転生してアイツから逃げて!!

 そういって無理やり捺印させる。

「あっ!! ぶ、無事でいてね! すぐにもどってくるからね!!」

「もどんなくていいよ!! 逃げ延びたら僕もそっちに行くし、僕の仲間もいるかもしれないから!!」

「わ、わかったわ。それじゃあ元気でね」


 魂は契約の力によって第七世界にすいこまれていった。


 ガッション! ガッション! ガッション!


「ひいっ!!」

 足音はもうすぐそこまで迫っている。早く逃げないと!!

 下級天使は必死に羽ばたき、どこかへ逃走していった。



~その頃天界では~



「まあ、そういうわけで、彼の仕事が終わるまで、招待するのは待つことにしたよ」

「よろしいのですか? 一度招待をしたにもかかわらず、姿を現さなかった無礼者ですぞ?」


 至高神が部下の火神に今後の予定を告げると、火神は不快そうに言った。

「いや、あれは上級天使のせいだよ。門前で追い返してしまったんだ」

「む、それは知りませんでした」

「それに随分と嫌がらせをされてたらしいんだ。世界崩壊一歩手前でなんとか持ち直したみたいだけど」

「……一体誰がそのようなことを?」

 その言葉に顔を曇らせながら至高神は言う。


「創造神だよ」

「信じられませんな、あの御仁がそのようなことをするとは思えませぬ」

「正確には彼の天使たちが創造神を嵌めるために、やったことなんだろうね」

「それでは独立した天使たちというのは?」

「彼のところの天使だよ。それについての話し合いが予定されてる」

 至高神はため息をついた。


「そうですか……ところで彼のあの噂は本当ですか? 下級天使を皆殺しにしたというのは?」

「本当だが、あれは不可抗力だ。崩壊する寸前の世界に、下級天使を大量に送りこまれて、やむなしだ」

「なっ!? しかし、それでも乱暴すぎではありませんか!!」

 火神は怒った。

「幾らでもやりようはあったでしょう?」

「その下級天使たちはろくに教育を受けてなかったらしい。言うことも聞かないで世界に入り込んだんだ」

「それでも何か方法はあったでしょうに、それは天使たちも怒りますよ」

 なだめる至高神に納得のいかない火神であった。


「それより前にも勝手に入り込んで好き勝手されて、下級天使にいい感情は持ってなかったらしい。魂をメチャクチャに取り扱われて相当腹が立ってたみたいだ」

「そ、それでもやりすぎでは?」

「消滅した魂が万単位であったらしいしね」

「…………」


 その言葉で黙る火神。


「まあ、彼の仕事が早く終わることを願いばかりだよ」

 何度ついたかわからないため息をつきながら至高神はいった。


次回の投稿は9月の中旬あたりになります。

しばらくお待ちください。


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