補足3 第一世界 3
本編は22時に投稿いたします。
~第一世界 青空が夕日に染まるころ~
少年は再び頭を抱えていた。
今、彼は生徒会室にいる。
生徒会室は普通の教室並みの広さがあるが、それはどの部屋でも同じことだった。
用途を区切らず自由に使うための設計と言うが、少年には手抜きにしか思えなかった。
生徒会等の活動に興味の無い少年には、かかわりの無い部屋だと思ったが、どうやら違ったらしい。
生徒会長に呼び出されたのだ。
少年はパイプいすに座わらされ、それを男子生徒約二十人が囲んでいる。
その全員の視線が少年に突き刺さる。
「なぜ君が呼ばれたか、わかるかね」
彼の正面に立つ人物、呼び出した張本人の生徒会長が聞く。
少年は首を振って答えた。
「わかりません」
その言葉に部屋の全員が殺気立つ。
「ほほう? これを見てもまだしらばっくれるかな?」
生徒会長は一枚の写真を出した。
それは先々週位だったか、彼のこづかいが搾り取られた、忌まわしき喫茶店だった。
問題はそこに写っている人物だ。
少年と幼馴染と従姉妹と同級生だ。
休日のことである。
制服を着ているわけでもなく、ただケーキを食べに行っただけだ。
強いて言えば元凶は彼の日直のサボりだが、別段問題になるようなことは無いはずだ。
特に生徒会が乗り出すような事件ではない。
「べ、別の証拠もあるんだな。ゆ、ゆるされないんだな!」
小太りの生徒がもう一枚写真を出す。
そこには幼馴染と同級生と少年が屋上で弁当を食べているのが写っている。
ここ一ヶ月くらいは同じ光景であるので、いつかはわからない。
おこづかいが補充されても、弁当を作ってきてくれているので彼的には助かっている。
屋上は誰が使っても良いし、強いて言えば傍らに写るラジオ位か。
だが、校則違反というわけでもない。
持ち込みは禁止されていないからだ。
「全然解かりません」
まったく解からない。
「貴様っ! ならばこれはどうだ!!」
熱血っぽい男子生徒がさらに一枚の写真を出す。
そこには、従姉妹と一緒に手をつないで帰る様子が写ってる。
そこには幼馴染も、同級生のエルフも写っている。
確か、一週間前に遊園地に遊びに行った帰りだったか。
彼女はラジオや雑誌の仕事で忙しく、息抜きをしたいと言ってきたのだ。
なので、弁当のお礼もかねて二人を誘った。
母から余分にこづかいを渡されたが、収支はマイナスだったことを覚えてる。
全損ではなかったことにほっとしたので、よく印象に残っているのだ。
少年はいつこんな写真が撮られたのか解からなかった。
いまだ写真機は高価な趣味だ。
この学校にも最近写真部が出来たが、それの活動にしてはもっと撮るべきものがあるだろうに。
だから言った、正直な感想を。
「まったくもって、わかりません」
その言葉にその場にいる全員が、激高する。
「きさまぁぁぁぁ!! ゆるさああああん!!」
全員が掴みかからんとしたそのときに。
「待ちたまえ。諸君」
副生徒会長が遮った。
ハンサムで二枚目な彼は女子生徒に人気があった。
「君は自分が犯した大罪を、理解していないようだね」
「大罪ですか?」
聞き返す少年に、オーバーリアクションで対応する副生徒会長。
「おお! なんとうことだ。君は罪深い存在だな。だが私は慈悲深い。君に贖罪のチャンスを与えよう」
「確かにそうだな。理解をさせてこそ、罪を償える。さすが副生徒会長」
生徒会長も同調した。
それによって、幾分か殺意が和らいだようだ。
「では説明しよう。君の犯した罪を」
「……」
少年は場の雰囲気についていけなかった。
窓の外は青空が夕日に染まりつつあった。




