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序章 迷い仔は眠る



 ピンポーン……。


――……誰かしら?


 ピンポーン、ピンポーン……。


――お父さん?


――かくれんぼしましょう。お客さんが帰ったらお母さんのスタートよ。上手に隠れられたら、今度玩具屋さんでけろけろちゃん買ってあげる。


――ほんと?わぁい!


 バタバタバタッ!


――いーい、アイザ。お母さんがもう降参って言うまで出てきちゃ駄目よ。


――分かってるよ!




「ねむ……」

 箪笥の上に置いたテディベアのくまちゃんと目が合った。いつも通り少し色褪せた赤いリボンを右の丸い耳に付けている。

「……しばらく見てなかったのに」

 母はあの後、アタシが約束通りクローゼットの奥扉の中で隠れていた間に急病でこの世を去った。脱水症状で救出され、実際に確認する間も無く養子に来てそろそろ二十年になる。家から持って来れたのは、結局かくれんぼの時も一緒だったこのくまちゃんだけ。お母さんとの時間を共にした親友。今でも定期的にクリーニングして大事に扱っている。今となっては唯一の形見だから。

「もう一眠りしよう……」

 おやすみなさい、お母さん。




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