表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法で英雄になるために。~とある道化師の英雄譚~  作者: コモンピープル
第二章 久遠の剣聖と最弱の剣聖

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

10/10

第十話

 目を覚ますと、揺れていた。


「え、なんで?」

「おう!目覚めたか小僧」


 僕を肩に担いで歩くのは漁師の男。

 最後の記憶はバタランを倒した所で、その先の記憶がない。


「暫くは身体がまともに動かねぇだろ。ゆっくりしとけ」


 男の言葉通り、体の節々が痛んで動かない。

 かなり酷い筋肉痛と言ったところだろうか。


「いや、恥ずかしいんで降ろして欲しいんですが」


 男はギルドに向かっているのだろう、街中で担ぐもんだから道行く人の視線が僕に集まる。


「カカッ、男ならどんと構えてろ」


 そういう問題じゃないのだが、身体が動かないからどうしようもない。

 担がれたままにギルドへと入った。


「ふはっ、何やってるんだい君たち」

「え、マチルダさん?」


 ギルドの中にいたのは見覚えのあるエルフの女性、友人にして恩人であるマチルダさんだった。

 暫くは会うことがないと思っていたし、そのつもりで街を出る時に挨拶をしてきたのだが。


「思ったより早い再開になったね。それにしても──」


 そう言って漁師の男に視線を向ける。


「漁師だ」

「そうかい。まさか君らが知り合いだとはね……」


 とりあえず、とマチルダさんが懐から出したのは一本のポーション。


「その芋虫みたいな動きやめな」


 有難くそれを頂き、飲み干す。


「あ、動く」

「ちっ、面白くねぇな」


 つまらなそうに呟いて僕を降ろした漁師の男。


「にしても、どうしてここに?」


 面白がっていた男に不満を覚えつつも、マチルダさんに問う。


「いや、とある依頼を出すためにね。そうだ、君も受けていきなよ」


 そう言ってヒラヒラと揺らす一枚の用紙。


「剣……じゃなかった。そこの漁師さんも頼むよ」


 受け取った紙の内容を見て息を飲む。


「マチルダさん。これって……」

「ああ、そうだよライトくん。その依頼は領主様発行の依頼でね。竜殺しの依頼、だよ」


 そう言ってニヤリと笑うマチルダさんに対し、僕は息を飲む。


「まあ、安心しなよライトくん。メインのドラゴンはアリス・シュタインバーグが受け持つ。君らにはその他の魔物退治を頼みたいのさ」


 快活に言い放つが、その内容は僕に衝撃を与えるのに充分だった。

 憧れの剣聖との合同依頼、迷うことなく僕は頷いた。


 ◇

 時は流れ二週間後。


「なんで、貴方と……」


 そう言って僕が不満を漏らしたのは遠征の道中、狭苦しいテントの中。


「カカッ、全く知らねぇヤツと一緒に寝るよか良いじゃねぇかよ」


 そう言って笑うのはむさ苦しい漁師の男。

 遠征のメンバーの人数は十二人。

 アリス・シュタインバーグを中心に集められた精鋭たち。と、僕。


「そもそも僕、場違いすぎませんかね」


 辺りを見回すと、そこにいるのは名だたる猛者ばかり。


 槍使いのヤシューマ。

 鎖鎌のジェニー。

 豪腕のガラド。


 等々、かの剣聖には及ばないものの一線級の猛者だらけだ。


 依頼を受けた時は何も考えずに頷いたが、今になってこれで良かったのかと頭を抱える。


「なに言ってんだ、受けたもんは引っ込めるなよ」


 それはそうだが、と僕は黙りこくった。

 僕の役割としてはドラゴンの討伐ではなく、その周囲に蔓延る魔物の討伐。

 アリスさんがドラゴンだけに集中できるように、他のモンスターを処理する。


「……言っておくが、バタランを一人で討伐出来るやつはそうそういねぇぞ」

「えっ?」


 悩む僕に見かねたように声をかける漁師の男。

 正直僕は魔物の強さについてよく分かっていない。

 人伝に知識を得たり、実際に戦うしか情報を得る手段がないからだ。


「男ならウジウジ悩むんじゃねぇよ、めんどくせぇ」


 本当に面倒くさそうに、彼はそっぽを向いて横になった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ