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「クロエ様、クロエ様はギルバート様のライラに対する態度に文句を言われませんの?」

そう問われてクロエはポロッと本音を漏らした。

「そうね、皆さま幼い頃から仲良しなのでしょう?

わたくしが文句言ったりして場の空気が悪くなるのもつらいですから・・・。

まだ婚約したばかりですから、あまり文句を言うのもどうかと思いまして」

「そうですわよね、そう思っても仕方ありませんわね」

「でも、ライラさんの態度はどうかと思いますわ」

「ギルバート様に馴れ馴れしいですわね」

「他の幼馴染の方々にもベタベタされますのよ」

クロエの本音に令嬢達も思っていた事を話し出した。

「ギルバート様の事はどう思っていらっしゃるのですか?」

「お優しいし、大切にしていただいているわ。でも・・・」

「「「でも?」」」

「親戚でもない年頃の身分違いの令嬢に愛称呼びを許し、公爵邸に自由に出入りさせている時点で信用はできませんでしたわね。

勿論今は出入りを禁止したり、愛称呼びを止めさせたりと頑張ってくれているみたいですけど。

早く卒業してライラさんから解放されたいわ。

あら、つい・・・内緒にしてくださいませね」

ポロリと出た本音を、自分たちの婚約者からギルバートに伝えさせようと、彼女たちは心に決めた。


湖に着くと、それぞれの婚約者をエスコートして散策が始まった。

勿論ギルバートもクロエをエスコートして散策に出かけようとしていた。

「ギルっ!ギルバート様!私も一緒に行っていい?」

案の定ライラが声をかけてきた。

「僕はクロエと二人で歩きたいんだよ。

昼から皆で遊ぶことにしただろう?それまでは二人にしてくれよ」

「そんな!私、今日ギルバート様と一緒に湖を回ろうと思っていたのに・・・。

ねえ、クロエ、私も一緒でいいでしょ?」

ライラの言葉にクロエは心の中でため息をもらした。

またいつもパターンだわ、と。

今日もきっとクロエが空気を読んで断らないことになるのだろう。

この前話したのに、結局クロエが決めるのを待っているだけなのだ。

そう思うと、クロエはどうでもよくなって返事をしようとした。

「はあ、では一緒に「だめだ!おーいボンド!早くライラ嬢を連れて行ってくれ」」

ギルバートはクロエの発言にかぶせるようにしてライラを拒絶した。

「ギルっ!!」「愛称で呼ばないでくれ」

「どうして!せっかく湖で一緒に散策できるのに断るの?」

「僕はクロエと二人でいたいんだ、邪魔しないでくれ」

「邪魔だなんて、ひどい、クロエが言わせているのね!ひどいわクロエ!!」

何故かライラはクロエがギルバートに言わせたと思いこんでいる。

しばらくして、呼ばれたボンド達はぎゃあぎゃあと騒ぐライラを連れて離れていってくれた。


「ギルバート様」

「クロエ、大声を出してすまない。でも、どうしても二人きりで散策したくて・・・」

しゅんとしたギルバートの姿にクロエはにっこり微笑むと、

「ちゃんと断ってくださったんですね」

そう言ってギルバートの手をとった。

「ちゃんとわたくしの話を聞いてくださって、わたくし嬉しいです。

わたくしもギルバート様と二人がいいですから」

ギルバートの耳元にそう小さな声で囁いたのだ。

その後、顔を真っ赤にした二人が、湖を散策している姿を友人たちが見かけることになる。

その姿はライラが主張する政略的な婚約者とは思えなかったし、皆はライラの発言に更に呆れてしまうのだった。

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