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クロエの後から来た令嬢達はクロエの姿が見えない事に気が付いた。

向こうからやってくるライラを見つけて声をかけた。

「ライラさん、クロエ様を見かけなかった?」

「ああ、えっと、気分が悪くなって先に帰ったわ」

「「「ええ?私たちに黙って?」」」

「本当に、自分の身分を鼻にかけて嫌な女よね。

あんたたちの事なんて蔑んでたわよ。身分の低い女たちが馴れ馴れしいって。

こんな所に本当は来たくなかったって。面倒だから帰ったのよ。

あんなのがギルの側にいるだなんて本当に可愛そうだわ。

地味で大して可愛くもないくせに、家の権力を使ってギルを縛り付けて、早くギルを解放してもらわなくちゃ」

ライラがクロエの悪口を言い募っていると、一人の令嬢が今来た道を戻って行った。

悪口を言いまくるライラは気が付いていなかった。


「ライラさん」

いつまでも続けられる悪口を止められ、ライラは不機嫌に返事をした。

「何よ」

「私たちは貴女の話を信じていませんわよ」

「は?なんでよ」

「クロエ様がそのような方ではないと思うからです」

「はん、あんな女の演技に騙されちゃって、あんたたちは単純ね」

ライラはそう言って鼻で笑った。

「そういうライラさんこそ、幼馴染だからと無作法にもほどがありますわ」

「クロエ様が黙ってくださっているのをいいことに好き放題」

「公爵家が黙認しているのも学園内だけなのでしょう?よくそんな振る舞いができますわね」

令嬢達は口々にライラを口撃する。


そんな争いの最中にギルバート達が護衛や侍従を連れてやってきた。

「クロエがいなくなったって?」

「ええ、でもライラさんが」

「ライラが?どうした?」

「クロエ様は先に帰られたっておっしゃってて」

「でも、クロエ様が挨拶もなしに帰られるなんて信じられませんわ」

「あの女は皆の事を騙している腹黒女なのよ。

ギルによく思われようとして演技していただけ。本当は傲慢で、人を見下している女なのよ!

ねえ、ギル、私を信じて!幼馴染じゃない!」

ライラは必死でギルバートに向かって言い募った。


ギルバートはそんなライラを無視して、周辺の捜索をするように指示を出した。

「何よ!あんな女ほっとけばいいのよ」

ライラはギャーギャーとわめいていたが、令嬢達の侍女や護衛が数名、ライラの腕を掴んで連れて行った。


ギルバートは急いでライラの来たと言われた方向に走り、クロエを探し回った。

ようやく護衛が見つけた時、クロエは胸まで湖に浸かり、意識を失っていた。

「クロエ!クロエーーー」

護衛からの連絡で岸にあげられたクロエを見て、ギルバートは狂ったように叫んだ。

だが、クロエの意識は戻らない。

ギルバートは乾いた布にクロエをくるむと、急いで公爵家へと馬車を走らせた。

腕の中で真っ白な顔で意識を失ったままのクロエを見ながら、ギルバートは激しく後悔をしていた。


公爵邸では知らせを受けた医師が待機しており、すぐさまクロエの治療に当たった。

湖で体が冷えてしまった事と、ライラに乱暴されたことで意識を失っていたようで、半日もすると、クロエは意識を取り戻した。

目を覚ますと、ギルバートがすぐに気が付いた。

「クロエ、ああよかった、目が覚めて」

「ギルバート様、わたくし」

「無理に話さなくてもいい、今侯爵夫妻を呼ぶから」

「ここは?」

「公爵邸だよ。湖から近いのがここだったから連れてきたんだ」

それを聞いてほっとしたクロエは部屋に入ってきた両親を見ると涙があふれてきた。


「クロエ、大丈夫よ」

「ああ、目を覚ましてくれてよかった」

「クロエが動けるようになったらうちへ帰りましょうね」

両親からの言葉にクロエは頷いた。

ふと、ライラはどうしたのだろう?と思ったが、ライラの事を考えると体が震えてしまい、クロエは考えるのをやめた。




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