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貧乏を味わう

作者: シューハ

 小林秀雄の講演をほぼ毎日、ウォークマンで聴いている。どうしてこの先生はこれ程にも話すのが上手なのかと疑問を抱いた。するとどうやら小林秀雄は元々、講演で話すのが得意でなかったので、古今亭志ん朝の落語を何度も聴いて勉強したらしい。私は好奇心を抱いて志ん朝の落語を聴いてみると、なるほど確かにそっくりである。そんなこともあって私は志ん朝の落語を幾つか聴いたが、やはりどれもおもしろい。最近、時間があるときに志ん朝を聴くようになった。そして志ん朝が残した有名な言葉についてこの度は書かせて貰いたい。

 志ん朝はひどい貧乏暮らしをずっと続けてきた人だ。彼の人生について知ると驚くことが甚だ多い。そんな志ん朝だが、彼の有名な言葉に次のようなものがある。

「貧乏はするもんじゃねえ。味わうもんだ。」

 私はこの言葉が非常に好きである。名言や格言と言うものは、数学の文章問題を解くときと同様、自分の身近なことに言葉を置き換えることで勇気を貰える。貧乏とは間違いなく苦しいものだろう。だが志ん朝ならこういうに違いない。どんな苦しいことにも中身はある。中身があるからこそ噛むと味がする。その味に浸れば嫌でも心は動くだろう。どんな動き方でもいい。その理由が何であれ、その苦しみは俺にとっては唯一無二の経験なんだ。ならとことん可愛がろうじゃないか。上手いもんも不味いもんも腹に入れば一緒さ。どんなものだって口に入れれば俺自身の一部となるだろう。だから貧乏ってのはするもんじゃない。貧乏とは味わうものなんだ。

 私は苦しいときがあったときは、志ん朝の言葉を自らの境遇に置き換える。私が先程に述べた解釈も恐らく一つも大袈裟ではないだろう。人生とは大きな食べ物だ。そしてどこを噛じっても違う味がする。それは全てに個性があるってことだ。だから口を開くことは止められない。

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