人間の闇と英雄の過去
誤字脱字があるかもしれません、ご了承ください。
シリアス多めです。
ライトな感じで読んでいただけたら幸いです。
昨日の出来事でこってり絞られた。
都市部から離れてるとどうも常識をには疎くなってしまう。
これからは気をつけないと。
一日の始まり、筋トレをしながらそんなことを思う。
一通り修行を終えたあと捉えた魔物の肉を焼いた夕食を食べながら幸せに包まれていた。
「――アミィ、あんた、本当に英雄になりたいかい?」
唐突になんだろう?またなにか悪いことしたっけ…
ま、まさか、腹いせにアイミスの保存食を食べたのがバレだろうか。
「うん、なりたいよ、アイミスみたいにね」
そう迷いなく答えたアミィにアイミスはしばらく迷ってから、どこかに悲しさを滲ませた目で告げる。
「――すまないねぇ、あんたが捨てられたのは私のせいなんだよ」
さっきまでの木と木が風で擦れ合う音がピタリと止まったように錯覚した。
「――これから話すことは全部あたしがしてきたことだ」
30代前半、あたしが全盛期だった頃だ。
あの頃は今と違ってまさに戦争真っ只中って感じだった。
侵略してきた魔王軍に対抗すべく私たちの国は一つとなり立ち向かった。
あたしは腕の立つ者をあつめた敵の本体を討つための特殊部隊のリーダーだった。
沢山死んだ、仲間が、英雄なんて呼ばれちゃいるが仲間の助けなしでは生き延びれなかった、本当はもっと、あの戦いで死んだ仲間が語り継がれるべきなんだ。
部隊は魔法学園で生活を共にして卒業後も様々な旅をした5人だった。
全員歴戦の魔道士だったよ。
「アイミス!今までサンキューな!後は任せたぜ!」
ロイは、ロイ=ザグロスは気さくでムードメーカーでポジティブで、誰よりも周りのことを気遣える男だった。
敵幹部との戦いで敵を道連れに最後まで笑顔で散っていった。
「アイミスさん、ここは私に任せてください!
――お元気で……」
マリーは、マリー=シモンネッティは、人一倍臆病で死を恐れていた丸メガネの似合う女だった。
だが仲間の傷や死を誰よりも悲しんでいた。
敵の罠にハマって襲撃されたときに私たちを庇って散っていった。
そんな臆病なマリーが最後に見せた表情は恐怖でもない、泣き顔でもない、覚悟を決めた優しい笑顔だった。
部隊の生き残りはあたし、ローリー、アルドの3人だった。
敵にも譲れない信念があり、同胞のために散るものや涙を流すものがいた。
そんな両軍は敵に敬意を払い、敗れていくものは皆どこか満ち足りた表情をしていた。
あたしが敵の魔王を討ったところで戦いは終わった。
この戦いでお互いに敬意を評しお互いの永久停戦、及び不可侵条約を締結した。
戦場に立つ者で誰一人として異議を唱えるものはいなかった。
お互いの覚悟を肌で感じ合ったからだ。
そう、戦場に立っていた者だけは。
魔道士たちは国に帰国した、待遇は様々だった、英雄と称えるもの、不可侵条約を結び逃げ帰ってきたと罵るもの、両者ともに半々ぐらいの割合で存在した。
罵るものの中には家族に手を出す過激派もいた。
英雄級の魔道士に手を出すのは危険だと考えたのだろう。
アルドは……そんな奴らに妻と子供を殺された。
怒り狂ったアルドは過激派の連中を皆殺しにした。
本来ならば即極刑なのだが国のために戦い、その国の民に家族を殺されたアルドに対してあんまりだと擁護派の意見に刑は国外追放という形で執行された。
あとから聞けば、魔物からの侵略の心配が無くなり今度は人間が人類を支配しようとした、そんな奴らが過激派を焚き付けて支配に邪魔な英雄を追い出そうと仕向けたらしい。
そんな中、アルドは最後まで泣きながら仲間に謝り続けた。
「すまねぇ…みんなの栄光に泥を塗っちまった…」
そう言って去っていく背中を見てあたしは決意した。
この腐った国を内側から浄化していこう、と。
まず、信用のできる魔道士、貴族、持てる限りのあらゆる人脈を使い、悪徳貴族の情報を洗いざらい調べた。
不当な税で領民から搾取する者、権力を誇示して脅すもの。
そういったものは次々と、世間では不審死を遂げられたと公表されていった。
もちろん不審死などではない、裏であたし達が殺した。
本来魔道士は政治とは無縁だったが頭の回る信頼にたる魔道士を数人議員にしたて、殺した貴族の穴埋めにも信頼する魔道士行った。
こうして今の魔道士国家アルデネシアが出来上がった。
「国家を築いたらそれの心の支えになる象徴が必要だろう?そうして英雄と仕立てあげられたのがあたし達特殊部隊のアルド以外の四人だ」
「だがその結果、実力主義の思考が蔓延し始めてね、エリゼリア家はそのいい例だ、まさかここまでするとは思っていなかったが……
今の国を作ったのはあたし達であんたはその影響を受けてしまったんだ。」
アミィの沈黙が答える、真っ直ぐにその赤い瞳で見つめられ視線を逸らしてしまう。
「私に魔法を教えてくれてるのはその償いのため?」
「――そうだよ、いやそうだったよ、最初は償いのためだった、エリゼリア家の子供が捨てられた噂を聞いてね」
「でも今は違う、最初にあんたの炎弾をみたときに焦がれたんだよ、綺麗だった、久しぶりに心に火が灯ったんだよ。」
「この子に魔法を教えてあげたい!心の底からそう思ったんだよ!自分勝手だとは思う!それでもあんたに魔法を教えたかったんだ……」
徐々に震えるアイミスの声に
「私はアイミスのこと家族だと思ってるよ、名前をくれたことも嬉しかった、それに――」
アミィの震えた声が答えた。
「一番辛かったのはアイミスだよ、人を殺して自分も殺して、皆のために国を築いて、確かにエリゼリア家を憎んでないといえば嘘になる、でもね――」
「そのおかげで今、こうしてアイミスに魔法を教えて貰えてる、悪いことばかりじゃないかな」
「――それに、やっぱり私の英雄はアイミスだよ」
大戦以来忘れていた、頬を温かい雫が伝う感触、
止まらない涙を隠して、答える。
「――いかんね、歳をとるとどうも涙脆くなる」
そうして夜は更けていく。
ご拝読ありがとうございます!
まだまだ続きますのでよろしくお願いします!!




