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フィットレン

誤字脱字があるかもしれません、ご了承ください。



「フフッ、フフフフフッ!ハッハッハァァァア!」



聞き覚えのある声の、高笑いが聞こえる。



「フィットレンだね?」


アイミスが一瞬で臨戦態勢に入り、魔物と戦っていた時とは比べ物にならないほどの威圧を放っている。



土煙が収まるとそれは姿を表した。


声はの主は確かにフィットレンのはずだが爪と牙が伸び全身の筋肉が隆起して赤黒い血管が浮き出ている異形の魔物に姿をしていた。



「これほどの力、どこで手に入れたんだい?」


フィットレンは最初に私たちの前に現れた時とは比べ物にならないほど桁違いの魔力量を有している。


その魔力量はアイミスと同じか、下手をすれば上かもしれない。


「魂には絶大な魔力のエネルギーが秘められている、それを吸収した、ざっくり言うとそうなりますねぇ、あなたなら分かるでしょう?」



「随分簡単に言うじゃないか」



要は収穫の義(ハーベスト)と同じ原理なのだろうか、収穫の義(ハーベスト)で使用する莫大な森の魔力を魂の魔力で代用したのか。




「それにしても、臨戦態勢に入るまでが遅すぎますよ、平和ボケしてませんか?

本気のあなたを殺さなければ意味が無いのですが――」



「確かにそうかもね」



「ふむふむ、それなら――」


ザクッ



「………えっ?」


私は自分の胸の当たりを見た、実感がわかない、短剣が自分の体を貫いていることに、私は、刺されたのか――


暗転していく意識の中で最後にとらえたのは、激昴したアイミスと体を優しく包む炎だった――










アイミスの体を赤黒い炎が覆う。



アミィが刺された、目の前で。




久しぶりだ、この感情は、失う恐怖、そして――


憤怒





「――楽に……死ねると思うなよ?」


内側から溢れ出る憤怒の炎が、アイミスの周りの草を一瞬で炭化させ、石をドロドロに溶かす


「恐ろしい魔力!これですよ、対戦の時、あなたがマクス様を殺した力!これに勝たなければ意味が無い!」




「――そこの森妖精族(エルフ)、その子を、アミィをヴィーの元へ運んでくれないかい?」



森妖精族(エルフ)は瞬時に状況を理解し、身体強化魔法を使い意識のないアミィを運ぶ。


判断力がある、優秀な兵だ、先程のフィットレンの攻撃を凌いだのもその優秀さゆえだろう。



光焔ノ王(アグニス)



「殺す、貴様は、必ず」



あまりの圧力(プレッシャー)に、縹渺としていたフィットレンの足がすくむ。












⚫⚪⚫



アイミスの元にフィットレンが現れたのとほぼ同時に、

イドリ達の部隊の目の前にも一体の魔物が立ち塞がっていた。



「なんて禍々しい…」



その魔物は人型で、牛のような角が生えており、全身が吸い込まれそうな漆黒の色をしている。



魔物の頭部の口らしき部分が開く。



それと同時にイドリの頭の横を光線が通る。



「なっ―――――っ!!」



不意をつかれ反応できなかったイドリの横を通った光線はエルメルスに直撃する。



「嘘……ですかいの?」


ミュールとプランのおかげで住民の避難区域への直撃は免れたものの今の一撃でエルメルスの3分の1は半壊状態に陥っている。



「これほどの魔力、下手をすれば魔王に匹敵しますわい」



魔王、

ヴィーネスやアイミス達と同格か、それ以上の存在達。



「こりゃ、骨が折れそうですわい……」






⚪⚫⚪



高温の熱風が吹き荒れる。


アイミスは戦いながら思う――


フィットレンがアミィを刺したとき、僅かに顔を顰めた、アイミスもその光景を目の当たりにしていたので気づいていた。


アミィはフィットレンに刺される瞬間に本能的な超反射で心臓に向けられた短剣の軌道を僅かにずらしていた。


刺された直後に治癒の炎で応急処置を施している、ヴィーネスなら完璧に治してくれるだろう。


我が弟子ながら、よく生き延びた。



「どうしたのですかぁ?先程から攻撃を全く当てれておりませんよ?」


「――――チッ!」


(思っていたよりも素早い…)



「今度はこっちから行きますよ!! 」


フィットレンは攻撃の手を休めない。


「フフッ、ハハハハハッ!!今の私なら!アルス様にだって劣りませんよ!!!」


確かに、フィットレンの魔力や身体能力はアルスに迫るものがあった。



だが――



バキッ!



「力に呑み込まれて忠誠まで忘れてしまったのかい?」



アイミスはフィットレンの拳を完璧に掴んでいた。



「なっ!?」





アイミス・マードレック、

彼女は元々、誰よりも強さに執着し、魔法に魅了されていた、その努力と才もあってか、いつしか英雄と称されるようになっていた。


対戦で仲間を失い、自分を見失い、強さに価値を見いだせなくなり己を高めることをやめた彼女心の炎がが、

誰よりも弱かった、アミィの炎に、もう一度灯された。



そんな彼女が――――



「確かに今のあんたはアルスに勝てるかもしれない、いや、正直アルスより強い―――だが、それだけだ」



強くなり続けるアミィを横に、己を高めることを我慢できるはずがない。



「見せてあげるよ、人類の頂点を――」



「―――身体強化七倍ヘプタ・コールブースト



――――彼女が紡いだ魔法は、また1つ、人類の長い魔法の歴史を変えた。 ――――




「ば、馬鹿な!!人類が扱える身体強化魔法は六倍までのはず!!!!!」



「いつの話をしているんだい―――次で終わらすよ」



「調子に乗るなよ!!その程度の変化、私には効かな―――」



フィットレンの言葉が遮られた。


フィットレンが最後に目にしたのは、自分を包む赤黒い怒りの炎だった。



「ふぅ、母娘、似るもんだね」



血の繋がりはない、だが、今のアイミスはどことなく、アミィの姿と重なっていた。



「さて、向こうはどうなっているんだろうか」



フィットレンが現れていたのと同時に、イドリの部隊がいる中央の魔物の群れが展開されていた場所と、アイミスとは反対、右側に展開されていた魔物の群れを討伐していた森妖精族(エルフ)の幹部達の場所に、強大な魔力を察知した。



「何も無ければいいんだけどね」


身体強化七倍ヘプタ・コールブーストを使い、さすがに疲れたアイミスは、十分な援護を行えるまでの魔力が回復するのを待つ為に、近くの切り株に腰をかけ、仲間の無事を祈る。


ご拝読ありがとうございます。

更新を長らくお待たせしてしまい申し訳ございません。

ハイペースの更新は保てないかもしれませんが物語はまだまだ続きます、これからもどうぞよろしくお願いします。

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