皇帝
誤字脱字があるかもしれません、ご了承ください。
アイミスはある人物の前に立っている。
その者はこの世にこれより美しい者は存在しないであろう、と思わせる美貌を具現化した容姿だ、銀髪はその1本でどんな宝石をも凌駕する価値を秘めているだろう。
その人物の両隣には歴戦の強者の風格をまとった森妖精族が2人、守護するように佇んでいる。
そしてその2人を先頭に5人ずつ、列が形成されている。
「アイミス=マードレック、私に何の用だ?」
「――っ!?」
その人物が名前を読んだことに周囲の森妖精族は激しく衝撃を受ける。
その人物が言葉を発するだけでこの場の空気が重くなる、生半可なものではこの圧力だけで気を失ってしまうだろう。
「いや、伝えたいことがあってね?」
アイミスは表情1つ変えずに話す。
「貴様!人間風情が皇帝陛下に向かってその口の利き方はなんだ!」
近衛兵の森妖精族が憤る。
それを皇帝は手で制し、黙らせる。
「魔王アルス軍 元幹部フィットレンが魔物を率いてここエルメルスを攻めてくる、魔物は数にして約1万、ランクもB級以上だ」
「――それは確かに厄介だが、雑魚をいくら束ねても所詮は雑魚だろう」
B級以上の魔物が1万、その膨大すぎる戦力を雑魚の一言で済ませてしまう、流石、この世界の最強の一角だね。
「あぁ、それには同感だよ、私はフィットレンの相手をする、だからあんた達には魔物達の相手をして欲しい」
「――ほう?私達に雑魚処理をしろと?」
「そうだよ、立場上あんたが直接戦う訳にもいかないだろ?
それに残念だけどフィットレンの相手はそこにいるあんたの近衛兵達じゃ無理だよ、見たところうちの子より弱い」
あんたの両隣にいる森妖精族は別格だけどね、と心の中で唱える。
アイミスの言葉を聞いた森妖精族の近衛兵達は激昴する、森妖精族は基本プライドが高い、上位の森妖精族ともなれば人間を見下している傾向もあり、アイミスの言葉はその自尊心を傷つけるのには十分すぎる言葉だった。
皇帝の手前、発言は控えているが今にも飛びかかってきそうなほど殺気を放っている。
「まあまあ、落ち着きなよ、だから三下なんだよ、そこの2人を見習って欲しいよ」
アイミスは皇帝の両隣の2人に視線を向ける。
そこには眉一つ動かさない2人の森妖精族が存在していた。
「――もう少しゆっくり話がしたい、別室で話そう、ミュール、プラン、ついてこい」
「「はっ!」」
皇帝が立ち上がり移動するとその両隣にいた森妖精族もあとをついて行く。
「会いたかったわよ!アイミス!」
別室に移動した途端、皇帝と呼ばれていた女性がアイミスに抱きつく。
やれやれといったようすでミュールとプランが頭を抱える。
このアイミスに抱きついている人物こそが先程まで凄まじい覇気を纏っていた皇帝 ヴィーネス=エル=エルメルスである。
「久しぶりだね、ヴィー」
「ヴィー、少しは自重しなさい」
ミュールが先程までの態度が嘘であったかのように気楽に話しかける。
「だってぇ」
落ち込む。
この3人は森妖精族が数百年の時を経て進化した森妖神族という森の守り神とまで崇められる上位種族だ。
「部下に聞かれたらどうするよの!」
プランにも攻め立てられる。
「ちゃんと空間断絶してるから大丈夫よ!」
そんな素振りは見せなかったが、難しい魔法なんだけどねぇ。
アイミスに魔法発動を、それも上位魔法を気付かさぬように発動した、それだけでもヴィーの実力の片鱗が伺える。
「それでぇ!私との結婚はいつしてくれるの!?」
「参ったねぇ…」
そう、何を隠そうヴィーはアイミスにベタ惚れしているのだ、過去にアイミスにある勝負に1度負けてからずっと。
「おほんっ!話を戻すわよ」
ミュールが咳払いをして意識を自分に集中させる。
「アイミス、雑魚処理の話だったかしら?受けるのはいいけど……」
「フィットレンだったっけ?アイミスに喧嘩を売った雑魚は私が始末するよ」
真顔になったヴィーがそう言った。
「いや、フィットレンはあたしが始末するよ」
「あいつだけは、あたしが殺す」
ゴクリッと、
アイミスの鬼の形相に森妖神族の3人が息を呑む。
「わかったは、あなたはフィットレンとの戦闘に集中してちょうだい、雑魚は全て私たちに任せなさい」
「あぁ、ありがとう」
「そうと決まれば今夜は宴ね!」
「それには同感ね」
「ええ、同感よ」
「――何故そうなる……」
この森妖神族達は無類のお酒好きである、元々森妖精族がお酒好きというのもあり、進化したことでよりお酒を飲む量が増えたのだ。
「なによぅ、アイミスも好きでしょ?お酒」
「あぁ、確かに好きだが……」
「なら決まりね!私達4人で、いや、アミィちゃん?だっけ?アイミスの弟子も入れて5人でこっそりしましょう!」
「アミィはまだ子供だよ、飲ませるなら酒以外でお願いね」
「えっ?何歳なの?」
「13歳だ、もうすぐ14歳になる」
「若いわね!その年でアイミスの目に止まるだなんて、相当優秀な魔道士なんだね!!」
「――話しておく必要がありそうだね……」
アイミスが暗い顔で話し始めると、ヴィー達の表情も少し引き締まる。
アミィの過去について少しだが説明する。
「そっか……」
ヴィーが悲しい顔をする。
「だけどね、あの子の母親はあたしであの子はあたしの大切な子だよ」
「それに心根の強さなら誰にも負けない、あの子はあたしを必ず超える魔道士になる」
「アイミスの子かぁ、ってことは将来結婚する私の子供になるってことよね!?」
「はぁ……とりあえず今日はアミィとエルメルスを観光さしていただくよ、宴は明日にしてくれ。
ご拝読ありがとうございます!
まだまだ続きますので今後ともよろしくお願いします!!
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