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新たな春を祝い鯛
俺は海を泳いでいた真鯛 俺の名は鯛介 海の中でそれなりに楽しくやっていたら
漁師の網にかかり 海から甲板を経て水槽の中へ
海鮮市場へ着いた頃には、既に俺の命は終わっていた
願わくば俺の身体を余すことなく美味しく食べてほしい
俺の身体はどこへ行くのだろう
鯛介はそういうことを考えながら息絶えた
鯛介の身体の流れ着いた海鮮市場は三花野市場 人口100万人を誇る三花野市の住人の胃袋を支える
そこそこ大きな市場だ。毎日新鮮な魚が運ばれてくる
しかしそこに並ぶ真鯛の中でも鯛介の身体はひと際大きかった
買い出しに来ていた小料理屋の主人 田仲氏の目に止まると田仲氏はすぐに購入を決断
こうして鯛介は小料理屋 「田仲丸」へと運ばれていった