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陰陽師、
それは陰と陽の均衡を保つ存在。
式神や御札を使い悪霊をやっつける存在。
霊力がある人しかなる事のできない職業。
みんなが憧れるヒーロー。
陰陽師になる事は名誉なことである。
私には一生関係の無い事。
それが私の陰陽師への認知だった。
この封筒が届くまでは…
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「あぁ、霊力測定の結果が届いたのか」
この国日本では、高校受験とともに霊力測定と呼ばれるその名の通り霊力を測定する行事が行われる。霊力の量が安定する15、16を見計らい、悪霊を倒す程の霊力ある人を引き抜き、陰陽師にするためである。と言ってもほとんどの陰陽師の人間は名家と呼ばれる《欄家、荒川家、堀野家、藤崎家、篠宮家》の分家や本家の者から出る。しかし、稀に本当に稀に普通の家にも基準値に達する霊力を持つ人が生まれることかある。その米粒の様な人をすくい取る為にあるのがこの霊力測定である。
私はご飯をゆっくりといただきながら、霊力測定について考えていた。
「そういえば、お兄ちゃんの時はもう少しで基準値行きなんだったよね。お母さんとお父さん凄く悔しがってたっけ」
「もしかして私も霊力多かったりして」
私は一口お茶飲み、大きく深呼吸をし、封筒に手を掛けた。やっぱり結果が分かっていたとしても緊張するもので、私の呼吸は荒くなっていた。
「よしっ」
私は意を決し、封筒の封を切った。
そこに書かれていた事に私は言葉を失った。
【桐野凜様】
貴方は霊力測定により基準値を大幅に超える霊力を持つことが確認されました。3月25日午前5時に陰陽協会の、者がお迎えに上がりますので、それまでにご家族にお話し下さい。
平均 557
基準値 1000
あなたの結果 259000
私は崩れ落ち床に座り込んだ。絶望した。
自分の霊力が多過ぎる事に驚いたのもそうだか、一番は家族と離れなければいけないからだ。この手紙には迎えにくると書いている。イコール私は多分家族と会うことができる可能性があるかもしれないが、この家での生活を送ることは不可能になる。それにこの手紙には明日迎えに来ると言っている。逃げるのも無理だろう。
そんな事を思っていると声が聞こえてきた。
「ただいまー」
「ただいま」
「あっ、お父さん、お母さんおかえり。今日帰ってくるの早い日だったっけ」
「いいや、今日は仕事がはやく終わったんだ。帰りに母さんを見つけて一緒に帰ってきた」
私はとっさに霊力測定の結果が書かれている封筒を隠してしまった。言わなければいけないことはわかっている何故か言う勇気が出なかった。
「凜、大丈夫なの?顔色悪いみたいだけど」
「うん、全然大丈夫。私ちょっとやらなきゃ駄目なことあるから自分の部屋戻ってるね。」
「あぁ、お前無理するなよ。 」
「うん!」
私は今ちゃんと笑えているだろうか。私は泣きそうなのをぐっと押し込め階段を駆け上がり、自分の部屋に入った瞬間大泣きしてしまった。私は泣いて泣いて泣いたあと一つの手紙を書いた。
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3月25日午前5時
「ピンポーン」
インターフォンの音が鳴り、玄関を開けてみるとの5人ほどの陰陽協会の人らしい人達が立っていた。
「手紙の通り桐野凜様を迎えに上がりました。」
この中で一番偉そうな男性が声をかける。イケメンだ。
「ご両親は居られますか?挨拶を」
両親は寝ているのでやめてください、それに私はまだこのことを家族に話していません。手紙を書いておいたので大丈夫です。」
「あと、もし家族に何か危害を加えたのなら私はあなた方を許しません。この事だけは覚えておいてください。」
男の人は微笑みながら
「はい、承知しました」
と言った。
「そうと決まったら早く行きましょう。迎えに来ると言ったんですから何処かに連れて行くんでしょう」
「はい、桐野様にはこれから陰陽協会の会長である藤崎詩織様に会ってもらいます。細かな話はそれから。」
私は男の手を取り用意された車に乗り込んだ。
これから私は新しい世界に飛び込む、だけど絶対に負けない。そう意気込み、私は一つ大きく深呼吸をした。