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「あぁ、何故だ僕はここまで君のことを愛しているのに
何故僕だけを見てくれない。」
映像が見える。建物は燃えながら崩れ、剣を持った美しい女性と長髪の男性を取り囲む様に大量の人が血を流し倒れている。よく見ると腕が引きちぎられている人や下半身が切断された様になっている人もいる。
『大丈夫ですか!誰か動ける人はいませんか!』
私は必死に声を出すも、何も反応がない
すると
「君のために何百人、何千人と人を殺した!
父上や母上、君を見るものは全てだ!!」
『ねぇ、そこの二人私の事見えますか?声聞こえます?
返事してください!』
この言い合いをしている二人に話しかけても何も反応が無い。
「ごめんなさい、私がもっと早くに気づいていればこんな事にはならずに済んだ、みんなの命を救えていたのに。」
女性は倒れている人を見ながら泣きそうな、悲しそうな声で呟いている。
『いったいどうしたんだ』
そして男の方を向き
「今の私には貴方を愛する事も生かす事も、罪を許す事もできません」
女性はそう言いながらながら男性の方に歩み寄る
「ならせめて、私がこの地獄を終わらせる。」
グサッ
女性は男性を抱き寄せ相手の背中から二人を貫くように剣を刺した。
『えっ』
映像が乱れ始め
意識が遠のいてゆく、、
おいっ………きろ
『待って、私はっ』
おきろ…凜
『聞きたいことがっ』
ゴンッ
痛ったー
「おはようございます。桐野さん」
「えっ」
鈍い痛みと共にめを覚ますと私は自分の部屋のベットに居た。どうやらベットの角に頭を打ったようだ。
「しかし桐野さんもう昼の12時ですよー。春休みだからって気を抜くな、早く起きろっ」
バサッ、私の暖かく癒やしとも呼べる布団が無残にも剥ぎ取られてゆく。
「おはようお兄ちゃん」「お前の場合おそような」
目を開けると、そこには私の兄桐野優が仁王立ちで立っていた。
「凛、母さんがご飯チンして食べといてって言ってたから後で食べとけよ。あと、郵便物届いてたから机の上に置いて置いたぞ。」
「はい、分かりましたお兄様。しっかりご飯を食べて郵便物を確認致します」
「宜しい」
「それじゃ俺は塾行ってくるから、家に居るの凛だけになんだから何かあったら連絡しろよ。」
「はいはい行ってらっしゃい、頑張れ!!」
「行ってきます」
そう言い終えると兄はそそくさと私の部屋を出ていき、ものの数分で玄関のドアが開く音が聞こえた。
『そういえば、変な夢を見たと思うんだけど何だっけ、、まあ良いや。』
私は意を決してベットから降り、2階から1階に降りるとダイニングには兄が言った通り、私のお昼ご飯と一つの封筒が置いてあった。私はテーブルに置いてあるご飯を電子レンジに入れ、やかんに水を注いでコンロに置き、火をつけた。
私の家は共働きで兄は高校三年生。大学受験のために塾に行っているため、こういう家に自分一人だけという状況はよくある。最初は不安だったものの、数カ月もこんな状況にいれば慣れるもので、今はやる事がなさ過ぎて呆けているような状態である。今日も今日とてやることが無いなぁーなんて思っていると、ふと思い出した。
「そういえば、郵便物届いてるってお兄ちゃん言ってたっけ」
私はさっとインスタントの味噌汁を作り、ご飯とともに
テーブルに持っていく。
「誰からだろう」
封筒の差出人の欄を見てみると《日本陰陽師協会》と書かれていた。
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桐野凛
この物語の主人公で今年の春から高校生になる15才、面倒臭がりな性格であるがやる時はやる家族思いな女の子。
桐野優
凜の兄で18才の高校三年生。努力家でおかん感のある性格。